2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

世に棲む日日

司馬遼太郎『世に棲む日日』、文藝春秋、1973 吉田松陰と高杉晋作のおはなし。前半が吉田松陰、後半が高杉晋作。吉田松陰という人は、いまにいたるまでこの人の何がエライのかよくわからないのだが、この本を読んだ後も実はよくわかってない。著者は「狂」と…

「京」(ドキュメンタリー)、市川崑監督、イタリア、1969 市川崑の短編映画。最初はえんえんと禅寺の修行道場のことが映っていて、禅の宣伝映画?と思っていた。ほかにはちょっと舞妓が出てきたり、桂離宮とか、祇園祭とかそういうものが映っている。なんだ…

弥次喜多道中記

「弥次喜多道中記」、加東大介、小林桂樹、徳川夢声ほか出演、千葉泰樹監督、東宝、1958 弥次喜多ものの1958年東宝版。徳川夢声が十返舎一九で、小説の執筆に困り、弥次郎兵衛(加東)、喜多八(小林)に金をやって旅をさせるという話。風呂を踏み抜く、金を…

新しい製鉄所

「新しい製鉄所」、伊勢長之助監督、岩波映画、1959 クレジットを見ると、川崎製鉄がスポンサーらしい。しかしこれは面白かった。当時の最新鋭の製鉄所での鋼板生産の過程をていねいに映している。機械設備の巨大さ、液体になったドロドロの鉄の高温、それが…

誰が太平洋戦争を始めたのか

別宮暖朗『誰が太平洋戦争を始めたのか』、ちくま文庫、2008 太平洋戦争の開戦責任論。基本的な主張は、官僚機構(陸海軍の統帥部)が作戦計画(この場合にはハワイ攻撃計画)を立て、政府(陸海軍省含む)は統一的な決定ができないまま、作戦計画に引きずら…

属国の防衛革命

太田述正、兵頭二十八『属国の防衛革命』、光人社、2008 元防衛官僚と軍事ライターの共著。といっても、内容はかなりバラバラで、統一性はない。太田述正の執筆部分は、ブログ記事に兵頭と、別のライターが手を入れたものだという。 太田の執筆部分では、「…

自衛隊完全読本

後藤一信『自衛隊完全読本』、河出書房新社、2008 これは買って失敗。250ページくらいの薄い本になんでも詰め込もうとしているので、とにかく内容が薄い。どれもどこかの本に書いてあるようなことしか出ていない。多少ましなのは、自衛隊の隊内生活について…

N響アワー

ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」第3楽章、ランラン(ピアノ)、デュトワ指揮、NHK交響楽団 モーツァルト「交響曲第40番」第1楽章、サンティ指揮、NHK交響楽団 ラフマニノフ「交響曲第2番」第4楽章、プレヴィン指揮、NHK交響楽団 池辺晋一郎は今回で司会を…

おはようインディア

「おはようインディア」、イラ・メータ、横倉健児 ほか出演、寺山修司構成、佐々木昭一郎演出、NHKラジオドラマアーカイブス、2009.3.22 1966年放送のラジオドラマ。佐々木昭一郎はラジオドラマも作っていたのね。ほかの佐々木ドラマと同じく、出演は素人。…

妖しき従姉妹 ~テンダー・カズン~

「妖しき従姉妹 ~テンダー・カズン~」、ティエリー・テヴィーニ、アーニャ・シュートほか出演、デヴィッド・ハミルトン監督、フランス、西ドイツ、1980 デヴィッド・ハミルトンといえば、ソフト・フォーカスのヌード写真の人だが、映画も5本ほど撮っていて…

実名告発 防衛省

太田述正『実名告発 防衛省』、金曜日、2008 著者は、1949年生まれ、2001年に仙台防衛施設局長から防衛庁を依願退職。その後民主党から2001年参院選に立候補したが落選、その後評論活動のかたわら、防衛省に対する批判を続けている、という人物。 読んでみる…

利休にたずねよ

山本兼一『利休にたずねよ』、PHP研究所、2008 直木賞受賞作。というのは自分にとってはあまり問題ではないが、千利休ネタの小説というので読んでみた。構成がくふうされていて、切腹の直前からはじめ、一章ごとに時代をさかのぼっていく。章ごとに別々の人…

「戦地」派遣 変わる自衛隊

半田滋『「戦地」派遣 変わる自衛隊』、岩波新書、2009 自衛隊のイラク派遣、インド洋派遣、ミサイル防衛の三つのトピックについてのルポルタージュ。イラク派遣については、著者自身が随行して取材しており、サマワの駐屯地でのいろいろな問題がわかって興…

小説吉田学校

「小説吉田学校」、森繁久弥、若山富三郎ほか出演、森谷司郎監督、東宝、1983 原作は読んでいないのだが、クレジットを見ると、「小説吉田学校」だけでなく、戸川猪佐武のいくつかの小説を組み合わせて脚本を書いているようだ。実際、話は吉田茂の最初の首相…

識名園

「識名園」 ここは昔来たような気もするのだが、ぜんぜん記憶にない。まあきれいに手入れがされた、よいお庭である。最初は首里城から散歩がてら歩こうかなどと無謀なことを考えていたが、車で行って正解。首里城から行くと、いったん丘を降りて、また丘に上…

移動と表現 変容する身体・言語・文化

「移動と表現 変容する身体・言語・文化」、沖縄県立博物館・美術館 この美術館の開館一周年記念展。ニシムイ芸術村、沖縄からの移住者、移動をテーマとする主にアジアの作家、の三部構成。 このうち「ニシムイ美術村」の作家、安谷屋正義、安次嶺金正、玉那…

石川文洋写真展 戦争と人間

「石川文洋写真展 戦争と人間」、沖縄県立博物館・美術館 ベトナム戦争の写真展。サイゴンが陥落し、南ベトナムが消滅してからすでに33年以上。写真も全部白黒である。しかし、この写真は非常にいい。戦場の緊張感が見る方にじかに伝わってくる写真ばかり。…

壺屋焼 近代百年のあゆみ

「壺屋焼 近代百年のあゆみ」、那覇市立 壺屋焼物博物館 ここは牧志市場のはずれ、やちむん通りの切れるところにある小さな博物館で、市場ややちむん通りをてくてく歩いていくと、一服するのにちょうどいい場所にある。フロアの面積もごく小さいところだが、…

ラースと、その彼女

「ラースと、その彼女」、ライアン・ゴズリング、ポール・シュナイダー、エミリー・モーティマーほか出演、クレイグ・ギレスピー監督、アメリカ、2007 若干ヒッキー気味の主人公が、ダッチワイフを買ってきて「僕の彼女のビアンカです」と言いだし、周囲は唖…

そうだったのか!中国

池上彰『そうだったのか!中国』、ホーム社、2007 池上彰の「そうだったのか!」シリーズの中国編。中国現代史の本なのだが、共産党の成立以後の歴史を描き、農村と都市の格差、軍備拡張政策のような最近のトピックについてもとりあげている。ニュース解説を…

FAIL SAFE 未知への飛行

「FAIL SAFE 未知への飛行」、リチャード・ドレイファス、ジョージ・クルーニーほか出演、スティーブン・フリアーズ監督、アメリカ、2000 シドニー・ルメットの1964年製作作品「未知への飛行」のリメイク。白黒作品というところまで前回と同じ(これは正解だ…

ハイドン「チェロ協奏曲第2番」 マーラー「交響曲第1番」

ハイドン「チェロ協奏曲第2番」、マーラー「交響曲第1番 巨人」、石坂団十郎(チェロ)、アレクサンドル・ヴェデルニコフ指揮、NHK交響楽団、広島厚生年金会館、2009.3.9 N響のコンサート、チケット安いなーと思ったら、NTT西日本の冠コンサートだった。宣伝…

隣りの神様

「隣りの神様」、田中裕子、小林薫、加藤治子ほか出演、久世光彦演出、TBS向田邦子新春スペシャル、1990 離婚して出戻ってきた長女(田中裕子)ら三姉妹と母親(加藤治子)のところに、人の紹介で小林薫が住み込むようになり、女ばかりの一家に男の匂いが・・・…

文楽 「二人三番叟」 「御所桜堀川夜討」 弁慶上使の段 「傾城恋飛脚」 新口村の段(

文楽「二人三番叟」、「御所桜堀川夜討」弁慶上使の段、「傾城恋飛脚」新口村の段 こちらは夜の部。「二人三番叟」は、おかしみのある人形の舞がたのしい。 「御所桜堀川夜討」弁慶上使の段は、竹本津駒大夫と鶴澤寛治の組み合わせ。人間国宝の三味線はこう…

文楽 「一谷嫩軍記」 熊谷桜の段 熊谷陣屋の段 、「紅葉狩」

文楽 平成二十一年三月地方公演 「一谷嫩軍記」 熊谷桜の段 熊谷陣屋の段 、「紅葉狩」、アステールプラザ中ホール、2009.3.6 二部構成の昼の部。文楽は実物ははじめてなので、とてもたのしみにして出かけたが、期待を裏切らぬよい舞台だった。 「一谷嫩軍記…

文楽

山田庄一『文楽』、ぎょうせい、1990 舞台を見るための予習用に読んでみたのだが、これは既に実際の舞台をいくつか見た人のための鑑賞の手引きというもので、まるっきり初心者のためには書かれていない。 第一章「文楽鑑賞の基礎知識」で、人形浄瑠璃の歴史…

眠狂四郎(田村正和版)

「眠狂四郎」第1話「夕焼けに肌が散る」、田村正和、山本陽子ほか出演、井上昭監督、関西テレビ、東映、1972 田村正和版のテレビシリーズ。とりあえず1話だけ見た。タイトルバックの画面はなかなかかっこいい。悪役は黒幕が渡辺文雄と賀川雪絵(例によって、…

上機嫌の作法

齋藤孝『上機嫌の作法』、角川oneテーマ21、2005 機嫌をよくする、上機嫌で人に接するというのは、作法であり、テクニックだ、という本。気分にコントロールされているようではダメで、自分で気分をコントロールすべきだと言っている。まあ、人に接するとき…

パリの恋人

「パリの恋人」、オードリー・ヘップバーン、フレッド・アステアほか出演、スタンリー・ドーネン監督、アメリカ、1957 「パリの恋人」で検索すると、いまではこの映画よりも韓ドラのほうが上にひっかかってくる。まあ50年前の映画だから、しかたないのか。こ…

核開発 イランの現実

「核開発 イランの現実」、イラン、2007 これも先週、2009.2.27に、NHK BS1の「海外ドキュメンタリー」枠で放送されていたもの。イラン国営放送の英語専門局制作のドキュメンタリー。原題は "War and Peace: The Story of Nuclear Energy" 。 当然、イランの…