2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

歩兵の本領

『歩兵の本領』浅田次郎、講談社、2001 陸上自衛隊第32普通科連隊がかつて市ヶ谷にあったころのお話。だいたい1970年代はじめあたりか。三島由紀夫の自決に言及されていて、高度成長が続き、学生運動が激しく、自衛隊が外ではちぢこまっていた時代。著者が自…

日清・日露戦争

『日清・日露戦争』原田敬一、岩波新書、2007 岩波新書「シリーズ日本近現代史」の3巻目。初期議会から韓国併合までを扱う。全体として日清戦争までに紙幅が割かれすぎていて、日露戦争の記述が簡単にすまされている。事実関係はていねい(特に日本の国内政…

民権と憲法

『民権と憲法』牧原憲夫、岩波新書、2006 岩波新書「シリーズ日本現代史」の2巻目。1巻目に比べるとそれほど奇矯なことはいっていなくて、穏当な歴史概説書という印象。 しかし問題もある。民権運動について、「政府、民権派」に「民衆」を加えて三者の関係…

幕末・維新

『幕末・維新』井上勝生、岩波新書、2006 岩波新書で出ている「シリーズ日本近現代史」の第一巻。著者は幕末・維新史の一般的理解を覆そうとしていて、「無為無策の幕府外交」「攘夷の世論で覆い尽くされた日本」といった説を攻撃する。 しかし、江戸幕府の…

狂った裁判官

『狂った裁判官』井上薫、幻冬舎新書、2007 著者は「判決が短すぎる」問題で、判事再任を事実上拒否された(一応形式上は著者自身が再任申請を取り下げたことになっている)人。これがメディアで問題に取り上げられていた時は「なぜ判決が短いのか」がよくわ…

新しい神の国

『新しい神の国』古田博司、ちくま新書、2007 アジアというが、日本と中国。韓国はまるで違っていて、同じくくりで考えることに無理があり、日本は「異なる文明圏」として捉えられるべきだという本。「脱亜」というのはもともと日本はアジアの一員という前提…

民主党の研究

『民主党の研究』塩田潮、平凡社新書、2007 民主党を、幹部政治家たちの軌跡と政党としての事件史を中心に見た本。著者はこの分野では定評のある人だから、記述はしっかりしているし、それぞれの人物について綿密に取材して書かれていて、読ませる本になって…

人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊

「人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊」、鶴田浩二、松方弘樹ほか出演、小沢茂弘監督、東映、1968 東映やくざ映画の主力が総出演。まあ時期的に言えば当然ですが。「仁義なき戦い」とも相当出演者がかぶっている。やくざ映画の常連でない人でも、志村喬、近衛十四…

僕は在日「新」一世

『僕は在日「新」一世』ヤン・テフン、平凡社新書、2007 著者は1991年に兵役を終えてから来日した韓国人で、日本では通訳、コーディネイター等に携わっているという。つまりいわゆる「ニューカマー」ということになるが、著者はこの名前があまり好きではない…

北条時宗

「北条時宗」、和泉元彌、渡部篤郎ほか出演、NHK大河ドラマ、2001 CSファミリー劇場での再放送がやっと終わった。本放送時には、途中であまりのアホらしさに見るのを投げてしまっていた。今回も中盤以降のグダグダぶりに数回は飛ばしてしまい、最後の3回を見…

共同警備区域 JSA

「共同警備区域 JSA」、ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、イ・ヨンエほか出演、パク・チャンウク監督、韓国、2000 兵士個人の友情が、国家の論理にひきさかれて…という話はそんなにめずらしくないので、ストーリーについてはそうですか、という感じ。やはりこ…

フジコ・ヘミング

「チャイコフスキーピアノ協奏曲第一番」ほか、フジコ・ヘミング(ピアノ)、タマーシュ・ガル指揮、ブダペスト・コンサート・オーケストラ、横浜みなとみらいホール、2007.4.6 フジコ・ヘミングという人のことはどういうバックグラウンドの人か、という程度…

本当に「中国は一つ」なのか

『本当に「中国は一つ」なのか』ジョン・J・タシク(編著)、小谷まさ代、近藤明理訳、草思社、2005 アメリカでの「台湾派」寄りの議員、研究者によるシンポジウムの記録。当然ブッシュ政権の路線とは距離がある。だから副題の「アメリカの中国・台湾政策の…

日中関係

『日中関係』毛里和子、岩波新書、2007 戦後日中関係を概観した本。まえがきに著者が「時を追った論述にはなっているが、概説を目的としてはいない」といっているように、かなり著者独自の分析視点が入った叙述になっている。もちろん著者は中国研究の泰斗だ…

国家情報戦略

『国家情報戦略』佐藤優、コ・ヨンチョル、講談社+α新書、2007 佐藤優と、韓国の元情報将校で金泳三の軍部粛清に関連して逮捕された経験のあるコ・ヨンチョルの対談本。内容は韓国のインテリジェンス体制、友好国間の情報協力、戦前期日本のインテリジェン…

ミサイル防衛

『ミサイル防衛』能勢伸之、新潮新書、2007 著者はフジテレビ解説委員。ミサイル防衛を、弾道ミサイルの性能、性能探知、センサー、ミサイルシステムその他、体系的に説明している。非常に詳しくかつわかりやすい。また現時点でわかっていることが集約的にま…

タンホイザー

ワーグナー「タンホイザー」、エルネスト・グリサレス(タンホイザー)、ダナ・ブレショヴァー(エリーザベト)ほか、ヤン・シュティフ指揮、ブルノ歌劇場管弦楽団、兵庫県立芸術文化センター、2007.1.14 タンホイザーは生ははじめて。見られてうれしい。エ…

自民党はなぜ潰れないのか

『自民党はなぜ潰れないのか』村上正邦、平野貞夫、筆坂秀世、幻冬舎新書、2007 『参議院なんかいらない』の鼎談三人組による続編。あいかわらず三人ともいいたい放題で、どうでもいい部分もあるのだが、細川政権成立から、自社さ連立政権にいたるまでの一連…

空中雷撃

『空中雷撃』谷甲州、中央公論新社、2007 著者の「覇者の戦塵」シリーズの新刊。といっても9月に刊行されていたらしいのだが、知らなかった。前の巻「電子兵器奪取」からもう2年半もたっているのだ。待ちくたびれたよ。まあその間「日本沈没 第二部」が出た…

中国と台湾

『中国と台湾』岡田充、講談社現代新書、2003 2003年2月に出た本なので、書いてあるのは陳政権成立前半まで。中国は胡錦濤政権になってあまり時間がたっていない頃のものなので、カバーしている範囲は限られている。しかし今になってから読んでもいろいろと…

ファイヤーフォックス

「ファイヤーフォックス」、クリント・イーストウッドほか出演、クリント・イーストウッド監督、アメリカ、1982 これも今頃になってやっと見られた。ソ連の新型戦闘機というのが、ステルス、マッハ5で飛んで、武装は脳から直接コントロールできるという化け…

海軍

「海軍」、北大路欣也、三田佳子ほか出演、村山新治監督、東映、1963 北大路欣也が兵学校に入って、卒業するとまもなく日米開戦、特殊潜航艇の乗員になって戦死、というお話。題名どおり海軍の話なのだったら、兵学校の様子(これはちゃんと江田島でロケをや…

韓国・北朝鮮の嘘を見破る

『韓国・北朝鮮の嘘を見破る』鄭大均、古田博司(編著)、文春新書、2006 韓国、北朝鮮と日本の間の歴史問題で争点になっていることに関する「論争」本。論争といっても、韓国、北朝鮮側の主張と日本側の主張が並置された形にはなっておらず、韓国、北朝鮮側…

日本海大海戦 海ゆかば

「日本海大海戦 海ゆかば」、三船敏郎、沖田浩之ほか出演、舛田利雄監督、東映、1983 これは初見。基本的にお話が、沖田浩之が演じる軍楽隊の水兵を主人公にしているので、司令官や参謀の立場から海戦の全容を見るのではなくて、船底の水兵の立場で虫瞰図的…

篤姫

「篤姫」第一話「天命の子」、宮崎あおいほか出演、佐藤峰世演出、NHK、2008.1.6 とりあえず今年の大河ドラマの一回目ということで見てみた。主演が宮崎あおい、脇は歴史上の重要人物はベテランで固めている。高橋英樹は島津斉彬にしてはちょっと年を食いす…

嘘と真実

「嘘と真実」、上杉祥三、長野里美ほか出演、上杉祥三作、小林武演出、NHKFMシアター、2007/1/5 上杉祥三って、脚本も書いていたとは知らなかった。舞台のラジオドラマ化らしいが、長野里美も懐かしい(って、自分が見ていないだけかもしれないが)。 しかし…

日米太平洋決戦

『日米太平洋決戦』小林源文ほか、日本出版社、2007 日米戦もののマンガ。小林源文をあてにして買ったのだが、ほんとに小林源文以外はおもしろくないなぁ。基本的に画力のない人が多いし。そこにいくとやっぱり小林はキャラ作りはうまいし、画力はずば抜けて…

ネット右翼とサブカル民主主義

『ネット右翼とサブカル民主主義』近藤瑠漫、谷崎晃(編著)、三一書房、2007 「ネット右翼」現象についての左翼のぼやき本。一章は「なんでネット右翼ができるのに、ネット左翼はないのか」という問題に答えを出そうとしているのだが、うまくいっていない。…

猿の惑星・征服

「猿の惑星・征服」、ロディ・マクドウォール、ドン・マーレーほか出演、J.リー・トンプソン監督、アメリカ、1972 夜中に5作品連続放映していたが、とても全部は見ていられないので四作目だけ見た。これも以前金曜日の映画の時間に繰り返し繰り返しやってい…

メロディーって何?

「ヤング・ピープルズ・コンサート」「メロディーって何?」、レナード・バーンスタイン、 1月1日の午前0時からクラシカ・ジャパンで集中再放送があったので全部録画。このチャンネルは飛び飛びで契約してるので、見ていない回がけっこうあったのだ。今頃に…