隣りの神様

「隣りの神様」、田中裕子、小林薫加藤治子ほか出演、久世光彦演出、TBS向田邦子新春スペシャル、1990

離婚して出戻ってきた長女(田中裕子)ら三姉妹と母親(加藤治子)のところに、人の紹介で小林薫が住み込むようになり、女ばかりの一家に男の匂いが・・・という話。脚本は金子成人

このシリーズは、向田邦子原案となっていて、確かに原案の出典は示されているのだが、同じ時代背景(太平洋戦争直前)という設定やモチーフ(女中心の家族に入り込んでくる男との絡み)、演出(これはいつも久世光彦)、主要な配役(田中裕子と加藤治子は常連)以外はかなり自由に作られているようだ。だから、脚本家の出来で相当左右されていると思う。しかし、どの作品もレベルが高く、それに同じテイストでまとまっているのはさすが。

自分の無知で、「怪人赤マント」というのが実際にあった都市伝説だったということを初めて知った。それまでは高橋留美子うる星やつら』でしか知らなかったので、高橋留美子の創作かと思っていたのだ。この話をエピソードとしてうまく使ってまとめている(赤マントは「娘の生き血を吸う」ことになっている)。田中裕子と小林薫の濡れ場だけだと生々しすぎるけど、娘たちへの母親の思いやりがじょうずにはさんであって、いい話になっている。加藤治子は、こういう母親がよく似合う。