2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

発達障害

岩波明『発達障害』文春新書、2017 著者は、昭和大学教授、この発達障害の専門医で、著書も多い人なので内容は確実。 発達障害をASDとADHDの二種に大別して、その病態を細かく説明していることは基本で、両者の関連性やほかの症状との関係についても詳しく述…

ケマル・アタテュルク

設楽國廣『ケマル・アタテュルク トルコ国民の父』山川出版社、2016 山川の世界史リブレット、ケマル・アタテュルクの本。この時期のトルコ史をぜんぜん知らなかったので、非常に勉強になった。 もともとは軍人だが、この人の真価が発揮されたのは、むしろ第…

ナセル

池田美佐子『ナセル』山川出版社、2016 山川のリブレット、これは「ナセル」。近代エジプト史はぜんぜんわかっていなかったので、取り付くのに便利な本。 ナセルは基本的に軍人で、政治家にはあとから流れでなったという人物だが、リーダーシップやカリスマ…

半分、青い 第21週

「半分、青い」第21週、「生きたい!」 鈴愛のアイディアの「しゃべるぬいぐるみの犬」を応用して、カフェにぬいぐるみ「岐阜犬」をおいて、電話システムを利用して、遠隔で和子に客の相手をさせることになった。 しかし、その和子は、体調を崩して仕事がで…

最果てにサーカス 1

月子『最果てにサーカス』1、小学館、2015 これは、中原中也、小林秀雄、長谷川泰子の三角関係話。このネタは、たくさん書かれているし、マンガでも、『含羞』があるので、そのひとつということになるが、これはよく描けている。 基本的には、小林秀雄の中原…

みんなちがって、みんなダメ

中田考『みんなちがって、みんなダメ』KKベストセラーズ、2018 中田考が、イスラムをベースに、人と社会の関係を語りおろした本。非常におもしろい。著者の、『私はなぜイスラム教徒になったのか』の姉妹編のような本。 著者は、人間にはみな価値がない、と…

商店街はなぜ滅びるのか

新雅史『商店街はなぜ滅びるのか』光文社新書、2012 著者は、1973年生まれ、東大人文社会系研究科単位取得退学という人。この本は、商店街の盛衰を描いたようにみえるが、じつはそれはできておらず、「零細小売店の盛衰」というような本。 おもしろいのは、…

ナポレオン

上垣豊『ナポレオン 英雄か独裁者か』山川出版社、2013 山川の世界史リブレットのナポレオン編。おもしろかった。 英雄か独裁者か、というタイトルになっているが、そのとおりで、どっちとも言えるのがナポレオン。戦争もできて、内政もできたのだし、革命期…

医学部

鳥集徹『医学部』文春新書、2018 著者は、医療ジャーナリスト。この分野については実績がある人なので、信用してもよい。 東大医学部の凋落(東大以外の大学からも、医学部教授になれるようになった)という話からはじまって、医局弱体化、医学部ヒエラルキ…

純文学とは何か

小谷野敦『純文学とは何か』中公新書ラクレ、2017 あっちゃんの、「純◯◯と通俗◯◯の境界」論。基本的には、「純文学とは売れないハイブロウなもの」ということなのだが、これを小説だけでなく、詩、映画、ドラマ、落語、歌舞伎などの周辺分野にも拡大して、「…

半分、青い 第20週

「半分、青い」第20週、「始めたい!」 新しいつくし食堂の2号店ができ、祖父の仙吉が死ぬ。五平餅は、鈴愛がなんとか作り方を習得。それで仙吉は死亡。店はだいたいできるのだが、名前がつかない。名前は、仙吉が、花野にだけ教えていた。 律の子供と花野が…

ユリアヌス

南川高志『ユリアヌス 逸脱のローマ皇帝』山川出版社、2015 辻邦生の『背教者ユリアヌス』でしか知らなかったこの人、実はあの小説のような人ではなかったというのが、この本を読んでわかった。 一般的には、「キリスト教側からの悪口」→「反対側からの見直…

マンガ水木しげる伝 下

水木しげる『マンガ水木しげる伝』下(戦後編)、講談社漫画文庫、2004 こちらは水木しげる自伝の下巻。貸本時代からあとのことを描いているのだが、これはもはやマンガ家の伝記ではなくなっている。もちろん仕事のことも書いているのだが、それはぜんぜん中…

マンガ水木しげる伝 中

水木しげる『マンガ水木しげる伝』中(戦中編)、講談社漫画文庫、2004 3巻本の、水木しげる自伝。これが中巻で、戦争中のことと、戦後、貸本漫画を描き始めるまでのこと。 戦争中の話はさすがにものすごく、今どきの、本をもとにして描いている戦争漫画とは…

「ストーカー」は何を考えているか

小早川明子『「ストーカー」は何を考えているか』新潮新書、2014 著者の中公新書ラクレの前著にあたる本。こちらのほうが、より体系的。 ストーカーは、「病気」と「病的」の両方にまたがっているもの。つまり、もう治らないような種類のものと、他人からの…

ストーカー

小早川明子『ストーカー 「普通の人」がなぜ豹変するのか』中公新書ラクレ、2017 著者はNPO法人、「ヒューマニティ」の理事長ということで、ストーカー事案のカウンセリングをしている人。しかし、この本の内容は相当きている。 ストーカー事案は、殺人とか…

西洋美術史

木村泰司『西洋美術史』ダイヤモンド社、2017 このタイトルの上に、「世界のビジネスエリートが身につける教養」とか書いてある。最近の教養を売り物にして、人に何かを売りつけようというよくない根性の産物。著者は、UCバークレーを出た人で、美術史の著作…

消えた弁護士たち

「消えた弁護士たち 中国”法治”社会の現実」、NHK総合、2018.7.25 NHKスペシャルで放送された、中国の弁護士弾圧。これはキツイ。 拘束されてからもう3年になる弁護士と外の世界にいる、その奥さんが中心。当局の言うことを聞かない弁護士は、適当に捕まえら…

半分、青い 第19週

「半分、青い」第19週、「泣きたい!」 この週が急展開。鈴愛は娘を連れて実家に戻ったが、そこには律がいて、ボクテとユーコも訪ねてきた。 ボクテが、楡野一家との飲み会で酔っ払ってしまい、あわてた鈴愛が、駅で律の結婚申込みを断った時の自分の気持を…

半分、青い 第18週

「半分、青い」第18週、「帰りたい!」 鈴愛の離婚の週。涼次との間の子供、「花野」が1歳になった。おたふくかぜで病院に連れて行かれ、動揺する鈴愛。しかし涼次は、自分の新しい脚本のことで忙しく、娘の病気どころではない。 これは、祥平から、前回取っ…

半分、青い 第17週

「半分、青い」第17週、「支えたい!」 置きっぱなしだった、半分、青いの録画。これが7月第4週。 鈴愛と結婚した涼次だが、ぜんぜん何もできていないダメ人間。先輩の祥平にとにかく一本書けと言われて、2年かけて原作を一本脚本に仕上げる。この原作者が祥…

純米酒を極める

上原浩『純米酒を極める』光文社知恵の森文庫、2011 著者は元は醸造試験場にいて、現在は酒造りのアドバイザーなどをしている人。これはプロの書いたプロ用の本。 著者は、酒は本来純米酒であることが当然であり、アルコール添加は、戦後の食糧難の時期に、…

牟田口廉也

広中一成『牟田口廉也 「愚将」はいかにして生み出されたのか』星海社新書、2018 インパール作戦の責任者、牟田口廉也の伝記。これくらい有名な人物なのに、本格的な伝記が出たのはこれがはじめて。著者は、この時期の中国史研究者で著書の多い人なので、内…

ロシアと中国 反米の戦略

廣瀬陽子『ロシアと中国 反米の戦略』ちくま新書、2018 タイトルは少し煽情的だが、内容は近年の中ロ関係の本。非常に内容が濃い。 上海協力機構ほかでいろいろと結びつきを深めているロシアと中国だが、実は一致できる点は、「アメリカの一国覇権に反対」と…

家庭習慣の教えを論ず

福沢諭吉『家庭習慣の教えを論ず』 福沢諭吉の教育論。これは非常にまともなことを言っている。 まず人として必要なことを4つ、健康を維持すること、生計をたてること、子女を産み育てること、社会を形成すること、をあげる。その次に人生の楽しみとして趣味…

バーナード嬢曰く。 4

施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』4、一迅社、2018 適当に見ていたら、これの新刊が出ていたので買ってしまった。あいかわらずおもしろい。 この巻では、「ぐりとぐら」「ハックルベリー・フィンの冒険」あたりから始まり、野崎まど、「電車男」、ドストエフ…

朝鮮大学校物語

ヤン・ヨンヒ『朝鮮大学校物語』角川学芸出版、2018 「かぞくのくに」の映画監督、ヤン・ヨンヒが書いた、半自伝小説。主人公ミヨンは、いくつかの設定ではヤン・ヨンヒとは違っているが、中のエピソードは妄想を含めて、自分の例から取っているはず。 話は…

中国の大盗賊 完全版

高島俊男『中国の大盗賊 完全版』講談社現代新書、2004 これは名著。高島俊男は碩学として知られている人だが、やはりすごい。 中国の皇帝家を新しく興した人は、みな盗賊。それらが盗賊である理由を、いちいち書いたというもの。陳勝、劉邦、朱元璋、李自成…

幸福なハダカ

森美樹『幸福なハダカ』新潮社、2016 連作短編集。著者は1970年生まれとなっているので、48歳くらいか。少女小説から出て、エロ入り小説にシフトしてきた人。 エロ入りといっても、明るいほうではなくて、暗い方。いろいろと傷があって、それをエロで癒やし…

覗かれる人妻 シュレーディンガーの女

「覗かれる人妻 シュレーディンガーの女」あやみ旬果、古澤裕介ほか出演、城定秀夫監督、2018 今年できたばかりの城定秀夫のエロ映画。シュレーディンガーの女というのは、シュレーディンガーの猫のもじりで、「女は見られる男によって、そのありようが決ま…