2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

列車

太宰治『列車』1933 これも太宰治の短編。「太宰治」の筆名で発表された最初の作品。初めての作品というわけではないが、それでも早い時期の作品で、これだけおもしろい。 列車の記号や細かい描写が頻出するが、それは背景で、中心は、「貧しく無学な妻」。…

めくら草紙

太宰治『めくら草紙』1936 これは短編。1936年に発表されたのだから、太宰が27歳のときの作品。それでも、当然のように主人公はモテモテだ。 タイトルの通り、「枕草子」を踏まえているのだが、出てくるものは、植物、と、隣のキョウチクトウを植えている家…

日本人とキリスト教

井上章一『日本人とキリスト教』角川ソフィア文庫、2013 日本でキリスト教がどういう仕方で受け止められていたかという歴史の本。といっても、キリスト教伝来の本筋とか、明治以後の宣教師による伝道とか、本流の話はほとんど扱われておらず、中世末から明治…

アナキズム入門

森元斎『アナキズム入門』ちくま新書、2017 著者は、大学の非常勤なんかをしながらアナキズム研究をしている人。取り上げているのは、プルードン、バクーニン、クロポトキン、ルクリュ、マフノ。前の3人は普通だが、後の2人は、著者の関心で取り上げた人。 1…

天理参考館

「天理参考館」、2017.9.25 この博物館は、今の特別展はいいとして、常設展が非常によい。「世界の生活文化」、「世界の考古美術」の2部に分けて展示されている。 考古学は専門家ではないとわからないし、民俗学も、きちんとした知識がないとわからないもの…

天理図書館古典の至宝

「天理図書館古典の至宝」、天理参考館、2017.9.24 天理図書館に収蔵されている古典籍の展覧会。9月16日から11月27日までの間に三回、展示替えがある。とても全部行くのは無理。 この天理参考館という施設、基本的には、民俗資料と考古資料専門の博物館。…

巌窟王

デュマ(打木村治訳、小松崎茂画)『少年少女世界の文学 巌窟王』小学館、2017 1978年に出た、「少年少女世界の文学」30巻のひとつ。200作品を30巻で出したというのだが、これは圧縮しすぎでは。 この「巌窟王」は小松崎茂が挿絵を描いていて、それはまあい…

高校教師 成熟

「高校教師 成熟」、赤坂麗、久我冴子、北見敏之ほか出演、西村昭五郎監督、にっかつ、1985 ロマンポルノの作品。これがなぜ今かかっているかといえば、監督の西村昭五郎が8月1日に死んだからだろう。ロマンポルノだけで84本つくっているので、エライ人。ロ…

青春舞台2017

「青春舞台2017」、NHKEテレ、2017.9.9 第63回全国高校演劇大会を編集した番組。2時間で、前半を出場12校の紹介、後半で優勝校の舞台を放送する。「幕が上がる」の背景になっているイベント。 出場校のうち知っている学校がない。いわゆる有名校とか進学校は…

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」セルゲイ・ポルーニン出演、スティーヴン・カンター監督、イギリス、アメリカ、2016 バレエファンの間ではけっこう話題になっていたというこの映画、やっと行った。広島では3週間だけ、それもちょっと外…

リベラルという病

山口真由『リベラルという病』新潮新書、2017 著者は東大法学部を出て財務官僚になり、ハーバードロースクールを修了して、現在弁護士という人。勉強法の本を数冊出している。 この本は、主にアメリカの司法で、リベラル対保守がどのような形で対立している…

秘密の国家 北朝鮮の内側

「秘密の国家 北朝鮮の内側」CNN、2017.9.16 CNNの北朝鮮特集。土曜日の11時から放送していた。平壌だけでなく、郊外の農村や白頭山にも行っている。 レポーターは北朝鮮に13回行ったというCNNのウィル・リプリー。テレビ取材なので、美しくないものは見せて…

ロマネスク

太宰治『ロマネスク』ちくま文庫、1988 ぼちぼちと太宰治を読むようになったが、おもしろい。みんな読んでいるからというつまらない理由で敬遠していたが、そんな理由で読んでいなかったのはもったいなかった。 この話は、これ自体が短編なのだが、「仙術太…

銀河帝国興亡史(1) ファウンデーション

アイザック・アシモフ(岡部宏之訳)『銀河帝国興亡史① ファウンデーション』ハヤカワ文庫、1984 これは子供時代に創元推理文庫の厚木淳訳で読んだ。設定はよく覚えていたのだが、後の展開はだいたい忘れていたから、読んでよかった。 初めて読んだ時に非常…

ドキュメント72時間 北九州 小倉 ”百円酒場”のブルース

「ドキュメント72時間」、「北九州 小倉 ”百円酒場”のブルース」、NHK総合、2017.7.14 この番組、しばらく見ていない分がたまっているので、適当に消化。この回は、小倉の「ビール100円」の飲み屋「百頭山」というお店。中身は第3のビールだが、100円だった…

SS-GB #1

「SS-GB」1話 レン・デイトンの小説をBBCがドラマにしたもの。日本では全3話に編集して放送する作品の第一話。 ドイツがバトル・オブ・ブリテンに勝って、イギリスはドイツに占領され、独ソ戦は始まっていないので、独ソ不可侵条約が継続しているという設定…

時をかけるゆとり

朝井リョウ『時をかけるゆとり』文春文庫、2014 朝井リョウの大学生時代のエッセイ。2日間で100キロ歩いたとか、東京から京都まで自転車で旅行した(帰りは新幹線)とか、非常にリア充な生活をされている。 文章は、自分のことを上げすぎず、下げすぎず、不…

イスラーム入門

中田考『イスラーム入門 文明の共存を考えるための99の扉』集英社新書、2017 この4月に出た中田考の本。99項目のイスラム用語集という体裁だが、法の宗教、イスラームの下の暮らし、イスラーム人物伝、イスラームと現代の4つの章に分けて、事項を並べている。…

中朝国境の旅路

『中朝国境の旅路 延辺朝鮮族自治州を訪れて』 これは2016年の冬コミで手に入れた本。しかし、著者名、出版年などの書誌事項が何も書いていない。内容は著者が平成18年9月に図們市を訪問したときの記録。平成18年って、もう11年前ということになるのだが、こ…

F-35「超」入門

関賢太郎『F-35「超」入門 何が得意で、何が不得意なのか』2017 F-35の解説本。電子版でしか出ていない本。F-35の特徴全般を解説しているが、特に充填をおいているのは、EOTS(電子工学式照準システム)、ネットワーク中心戦、センサーフュージョン、E…

角川映画 1976-1986

中川右介『角川映画 1976-1986』(増補版)、角川文庫、2016 角川映画、特に最初の10年間に焦点をあてたクロニクル。角川(KADOKAWA)の映画製作そのものは、現在の会社も続けているのだが、この本は特に角川春樹が主に関係していた映画を扱う。 こうしてみ…

交通政策審議会2016年答申線を歩く

『とれいん工房 No.28 交通政策審議会2016年答申線を歩く』2016 これは冬コミの本。内容はタイトル通り、国交省交通政策審議会の2016年答申に出ている、東京近郊の鉄道新線計画をおさらいしたもの。 現在建設中の、大倉山から二俣川のJR相鉄乗り入れ線と、日…

えろほんの真実

『ましまろ本舗プレゼンツ えろほんの真実』2015 これは去年の冬コミで拾った本だと思うが、よくみると2015年の冬コミの本。著者は書店員のようだ。この本の前に「エロ本の広告」という本を出して、そちらは完売。 この本も基本的には、エロ本の広告がどうい…

別冊東京エスカレーター vol.06

『別冊東京エスカレーター vol.06 メーカー判別読本』2016 これはたぶん、去年の冬コミで拾った本。著者はエスカレーターファンで、この本は、エスカレーターのメーカーをどうやって見分けるかという内容。 日本にあるエスカレーターのメーカーは、三菱電機…

足立美術館

『足立美術館』、2017.9.2 これも島根に寄ったついでで、足立美術館に行ってきた。これも安来市で、「市立歴史資料館」からはすぐ。 誰もいない安来市の南部でも、ここはいつも人でいっぱい。今回行ったのは3回目だと思うが、朝でも人が来ている(ここは9時…

都営バス 運用のほん

『都営バス 運用のほん 配車の傾向と対策2016冬』2016 これも夏コミで拾ってきた本。出たのは前の冬コミ。 都営バスのそれぞれの系統に対して、どの車種がどのくらいの確率で来るかを調べた本。2016年10月から12月中旬の2ヶ月半の運用を調べた、と書いてある…

安来市立歴史資料館

「安来市立歴史資料館」、2017.9.1 ちょっと島根県に足を伸ばすことがあり、この資料館に行ってみた。ここは、昔の月山富田城跡、富田城は山城なので、その麓にある。隣接して道の駅広瀬富田城という施設があるが、道の駅にしては売店も小さく、あまり商売気…

日本陸海軍 徴兵制度あれこれ

第六兵器廠『日本陸海軍 徴兵制度あれこれ』2017 これも夏コミで拾ってきた本。明治から昭和まで、徴兵制度の変遷がまとめてある。基本的に公文書による制度のまとめなので、具体的な徴兵検査や配属についてのエピソードはないが、これでも十分役に立つ。 特…