2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

やがて哀しき外国語

村上春樹『やがて哀しき外国語』、講談社、1994 村上春樹のエッセイ集。外国語習得の苦労とかそういうことを書いてあるのかと思ったら、それは表題作だけで、全体はアメリカ滞在記のようなもの。村上春樹自身は自分は英語があまりできないようなことを書いて…

LOVE

みうらじゅん『LOVE』、世界文化社、2003 みうらじゅんのエッセイ集。1990年から2003年までに書いたものが集められ、年代順に並べてある。 いろいろなネタがあるが、一番納得したのは、みうらじゅんはコレクターではなくて自分マニアだというところ。コレク…

沈黙博物館

小川洋子『沈黙博物館』、筑摩書房、2000 博物館の標本をつくる技師「僕」は、新しい博物館の設立計画に応募してある村にやってくる。その博物館を作ろうとしている施主の老婆、その養女、庭師、家政婦らに囲まれて技師は、毎日博物館の設立準備にあけくれる…

自己責任

今井紀明『自己責任』、講談社、2004 イラクに行ってテロリストに拘束され人質になった今井紀明が、イラク行き、拘束、帰国後の経験をつづった本。まあ単純に何も考えずに行動している人だなあという気はする。イラクがどうなっているか、どういうリスクがあ…

軟弱者の言い分

小谷野敦『軟弱者の言い分』、晶文社、2001 小谷野敦のエッセイ集。ちょっと昔のもので、時代を感じさせるところもあるけど、やっぱり面白い。 クラシック音楽の分野で、「通」が「俗」をバカにする嫌らしい傾向が特に強いという説には納得。他の分野をバカ…

エリートのつくり方

柏倉康夫『エリートのつくり方』、ちくま新書、1996 これも買ってからずーっとほうっておいた本だったが、簡単に古くなるような内容の本ではないので、いま読んでもまったく問題ない。副題の「グランド・ゼコールの社会学」のとおり、エコール・ノルマル・シ…

華麗なる一族

「華麗なる一族」、佐分利信、仲代達矢、京マチ子主演、山本薩夫監督、東宝、1974 これも最初に見てからもう15年ほどたっていると思う(公開時に大ヒットしたことは覚えているのだが、その時は見てない。ちなみに吉本新喜劇で「失礼なる一族」というパロディ…

乙女なげやり

三浦しをん『乙女なげやり』、太田出版、2004 あいかわらず三浦しをんのエッセイ集。とうとう図書館の返却期限が来てしまったので、手放すのが悲しい。でもまた読みたくなったらすぐに借りるからね。これは『桃色トワイライト』よりちょっと前の時期、2003年…

ガットからWTOへ

池田美智子『ガットからWTOへ』、ちくま新書、1996 もう10年も前に出た本なので、いまさら読む価値があるのかと思ったが、実際の内容は副題になっている「貿易摩擦の現代史」のとおり、ほとんどが歴史的内容(戦前の貿易戦争も含めた)なので、最近の問題に…

桃色トワイライト

三浦しをん『桃色トワイライト』、太田出版、2005 相変わらず三浦しをんのエッセイ。というか図書館で大量に借りられたので、毎日ハマッている。比較的最近のエッセイを集めたもの。よって、作家生活もかなり忙しくなっている模様。でもぜんぜんパワーとテン…

妄想炸裂

三浦しをん『妄想炸裂』、新書館ウィングス文庫、2003 三浦しをんのちょっとむかしのエッセイ。内容は非常にあいかわらず。というか三浦しをんは生活ペースの変わらない人だなあ。直木賞をとってから、やっぱりちょっといそがしくなったのだろうか。それでも…

インド旅行記3

中谷美紀『インド旅行記3』、幻冬社文庫、2006 中谷美紀のインド旅行記、今度はインドの東部(コルカタ、ダージリン、シッキム、ブッダガヤほか)と西部(ムンバイ、ゴア、アジャンタ、エローラほか)を回る。 東インドのところでは、チベット仏教とネパール…

「電車男」は誰なのか

鈴木淳史『「電車男」は誰なのか』、中央公論新社、2005 これも今頃読むのはどうかという本だが、スカパーで電車男の映画をやっていて思わずみてしまった流れで読んでしまった。電車スレからいろんなことが引用されていて、読んでいるととてもなつかしい気分…

闘えない軍隊

半田滋『闘えない軍隊』、講談社+α新書、2005 長く防衛庁取材にあたってきた東京新聞記者による、自衛隊の海外活動を中心としたルポルタージュ。カンボジア、インド洋、東チモール、イラクなどの自衛隊の海外活動の内幕が、現場、幕僚監部、首相官邸などのさ…

知られていない 原油価格高騰の謎

芥田知至『知られていない 原油価格高騰の謎』、技術評論社、2006 石油問題に関する一般向けの解説書の中では最もていねいでわかりやすい一冊。著者は銀行の調査部で経済分析、市況分析をしている人だが、石油価格形成の歴史や石油科学分野のことまで親切に…

戦争の記憶をさかのぼる

坪井秀人『戦争の記憶をさかのぼる』、ちくま新書、2005 駄本。戦争の記憶形成と変化を知るのに何かの役に立つかと思って読んだのだが、何の役にも立たない。「敗戦後論」論争を扱う第一章からして著者の「意見」が鼻につくが、9.11テロを扱う第二章はもう読…

むかしのはなし

三浦しをん『むかしのはなし』、幻冬舎、2005 三浦しをんの短編集。むかしばなしからモティーフをとっている、ということなのだが、むかしばなしはあくまでアイディアの断片のもと、という感じでむかしばなしの翻案あるいは改作というものではない。作品ごと…

謎の隣人 北朝鮮

金山宣夫『謎の隣人 北朝鮮』、廣済堂出版、1997 著者はまったく知らない人。奥付を見ると1936年生まれ、東洋学園大学教授、文明評論家、とある。著書はけっこうあるらしい。しかし文明評論家という肩書きははじめて見た。そもそも文明は「評論」の対象にな…

まぼろしの市街戦

「まぼろしの市街戦」、アラン・ベイツ主演、フィリップ・ド・ブロカ監督、フランス、1966 第一次大戦中のフランスの小さな町。ドイツ軍が爆弾をしかけて逃げ出した後、精神病院の檻の中から狂人たちが街に出てくる。フランス軍の斥候が伝書鳩を連れて街にや…

戦後日本外交史 新版

五百旗頭真(編)『戦後日本外交史 新版』、有斐閣、2006 1999年に出た『戦後日本外交史』の新版。テロ事件があったことと、学部向けの教科書ということを考えてもちゃんと7年で新版を出すところは非常にきちんとしている。内容もアップツーデートだけでなく…

インテリジェンス 武器なき戦争

手嶋龍一、佐藤優『インテリジェンス 武器なき戦争』、幻冬舎新書、2006 元NHKの手嶋龍一と「ラスプーチン」佐藤優のインテリジェンスについての対談。強者同士の対談だけに、細かいところにいろんな芸や情報が仕込んである。大韓航空機撃墜事件での情報提供…

マリーアントワネット

「マリーアントワネット」、キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツ主演、ソフィア・コッポラ監督、アメリカ、2006 冒頭から騒々しいロックが流れてきていやーな予感がしたのだが、ロックの洪水はひとまず終わってほっとした(その後も何度か流れて…

兵隊やくざ

「兵隊やくざ」、勝新太郎、田村高廣主演、増村保造監督、大映、1965 勝新、田村コンビの「兵隊やくざ」シリーズ一作目。勝新は口数少ないが、芝居がみなきちんと決まっている。田村高廣の一徹さがとてもいい感じにかみあって、見ていてとても気持ちがいい。…

ロマンス小説の七日間

三浦しをん『ロマンス小説の七日間』、角川文庫、2003 これはまあまあおもしろい。中世の騎士道ロマンスと現代の恋愛?話が並行して進む。中世の話のほうはどんどん脱線していくけど、現代の話のほうはもうひとつストーリーにひねりがない気もするが、あとが…

月魚

三浦しをん『月魚』、角川書店、2001 三浦しをんの小説2作目ということで、「白蛇島」より前の小説。しかしこっちのほうがいい。古本屋の世界が舞台になっているが、そこがちょっとおもしろいし、話もそれなりに盛り上げがあって、かつまとまっている。「水…

白蛇島

三浦しをん『白蛇島』、角川書店、2001 古い因習が残る離島、拝島を舞台にした伝奇小説というか冒険小説というか、そういう感じの小説。それなりにまとまっているような感じはする。昔のNHK少年ドラマシリーズのような感じ?しかしおもしろいかといわれると…

プーチンのロシア

ロデリック・ライン、ストローブ・タルボット、渡邊幸治(長縄忠訳)『プーチンのロシア』、日本経済新聞社、2006 プーチン政権以後のロシアの内政、外交についての日米欧三極委員会の報告書。著者はいずれも対ロ外交に携わった外交官。プーチン政権下のロシ…