2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

童貞放浪記

小谷野敦『童貞放浪記』、幻冬舎、2008 小谷野「あっちゃん」の、こっちは小説。小谷野の小説は基本的に私小説だが、読んでいるほうはおもしろければなんでもいいのである。三編の短編で一冊になっている。表題作「童貞放浪記」は、ストリップの詳細な描写が…

評論家入門

小谷野敦『評論家入門 清貧でもいいから物書きになりたい人に』、平凡社新書、2004 小谷野「あっちゃん」の「物書きになりたい人のための本」。小谷野は学者だから、ある意味学問への入門にもなっているのだが、これは「大学で教職を得たい人」向けではなく…

なまいきシャルロット

「なまいきシャルロット」、シャルロット・ゲンズブール、クロチルド・ボードンほか出演、クロード・ミレール監督、フランス、スイス、1985 話だけには聞いていたが、これは佳作。シャルロット・ゲンズブールのデビュー作。13歳という設定になっているが、ま…

中国初恋

さくら剛『中国初恋』、幻冬舎、2007 著者の『三国志男』がおもしろかったので、これも読んでみることにした。表題は「中国」となっているが、ぜんぜん中国の話はなく、内容はまるっきりアフリカ旅行記。それもケープタウンから東アフリカ諸国(南アフリカ、…

ミクロの決死圏

「ミクロの決死圏」、スティーブン・ボイド、ラクウェル・ウェルチほか出演、リチャード・フライシャー監督、アメリカ、1966 これもひさしぶりに見た。いま見ると、やはりアイディアの勝利という感じ。人体内部への潜入は宇宙旅行の暗喩になっていて、未知の…

夕鶴

「夕鶴」、山本安英、宇野重吉ほか出演、岡倉士朗演出、NHK、1949 NHKのラジオ第一で月1でやっている、「ラジオドラマ・アーカイブス」でかかっていたもの。「夕鶴」って、そんなに古い芝居だったのかと思って調べてみたら、舞台上演に先立ってラジオドラマ…

第55回日本伝統工芸展

「第55回日本伝統工芸展」、広島県立美術館 毎年この時期に来る日本伝統工芸展。今日は、もと文化庁でこの展覧会に関わっていた人の講演会もあったので、いそいそといってきた。しかし講演会の講師の話がたいくつ。100分くらい話した後で、「まだ時間ありま…

スクリーンの中の戦争

『スクリーンの中の戦争』坂本多加雄、文春新書、2005 坂本多加雄の映画評論本。最初に取り上げているのが、「パールハーバー」と「トラ!トラ!トラ!」で、当然ながら「パールハーバー」は酷評されている。それにしてもなんでわざわざ「パールハーバー」な…

ロイドの要心無用

「ロイドの要心無用」、ハロルド・ロイド、ミルドレッド・デイヴィスほか出演、サム・テイラー、フレッド・ニューメイヤー監督、アメリカ、1923 これもひさしぶりに見た。壁登りの場面以外はさっぱり覚えていなかったのだが、まあ、そこは今見てもどうでもよ…

オバマ大統領就任演説

「オバマ大統領就任演説」 録画しておいたものをやっと見られた。テキストは新聞で読んだので知ってはいたが、スピーチそのものを見て、あらためていい演説だったと思う。 内容は、直面する困難の大きさを強調しながら、それを克服するために、アメリカの歴…

なぜこんなに生きにくいのか

『なぜこんなに生きにくいのか』南直哉、講談社インターナショナル、2008 南直哉の『語る禅僧』がとてもおもしろかったので、近刊のこちらも読んでみた。やはりおもしろい。 まずおもしろいのがSMAPの「世界に一つだけの花」への著者の解釈。この歌が売れる…

禅 ZEN

「禅 ZEN」、中村勘太郎、内田有紀、藤原竜也ほか出演、高橋伴明監督、「禅 ZEN」製作委員会、2009 道元の伝記映画。しかし、道元の生涯をトレースするのはいいとして、タイトル通りの「禅」の映画になっているかといえば、あんまりそうなっていない。 まず…

座頭市(2003)

「座頭市」、北野武、浅野忠信、ガダルカナル・タカほか出演、北野武監督、バンダイビジュアル、TOKYO FMほか、2003 たけし版の座頭市、賛否両論は聞いていたが、やっと見た。おもしろい。勝新太郎版と比べて文句を言う必要なし。設定だけが共通の、別の世界…

平成20年度大学入試センター試験 国語

平成20年度大学入試センター試験 国語 の問題を読んだのだが、読んでいるそばから頭痛がしてきた。例年通り、第1問(論説文)、第2問(小説)、第3問(古文)、第4問(漢文)となっているのだが、頭が痛くなるのは第1問。栗原彬「かんけりの政治学」が題材。…

山口組概論

『山口組概論―最強組織はなぜ成立したのか』猪野健治、ちくま新書、2008 「山口組」の「通史」。現組長司忍体制になってからの話から説き起こし、山口組の発祥、田岡一雄による近代的暴力団組織への発展、内部抗争や他組織との抗争、警察、司法との関係、現…

ふたつで一つ

「ふたつで一つ」、京都市美術館 ここの美術館の所蔵品のテーマ展示の3期目。「対になっている表現」がテーマ。対ということになると、掛け軸の双幅、屏風の一双といったものが思いつくが、まずそれらが並べられている。 屏風ももともとは一扇ごとに独立した…

京都御所ゆかりの至宝

「京都御所ゆかりの至宝 甦る宮廷文化の美」、京都国立博物館 御即位二十年記念ということで、こちらは京都御所関連、つまり平安時代から江戸時代までの皇室関係美術品の展示。後白河法皇、正親町天皇、後陽成天皇、後水尾天皇、といった教科書に名前の出て…

琳派展IX 花の協奏曲

「琳派展IX 花の協奏曲」細見美術館 ここのおなじみ、琳派の展覧会。草花図にしぼった展示。光琳とか抱一は豪華でいいし、神坂雪佳のような時代の新しい人の絵もその系譜の上にあるんだなあと、あらためて納得する。 自分としては、中村芳中の朝顔がとても鮮…

上野伊三郎+リチ コレクション展

「上野伊三郎+リチ コレクション展 ウィーンから京都へ、建築から工芸へ」、京都国立近代美術館 上野伊三郎は、宮大工の家に生まれ、早稲田の建築学科を出て、ベルリンとウィーンに留学、帰国して建築運動を始め、後に京都市立芸大で教え、工芸に傾いた人。…

霊験亀山鉾

通し狂言「霊験亀山鉾」、片岡仁左衛門、市川段四郎、片岡我當、中村扇雀ほか出演、「春寿松萬歳」坂田藤十郎、大阪松竹座、2009.1.10 大阪松竹座の新春公演の夜の部がこれ。あまりなじみのない演目で、内容を知らなかったのでどうかと思ったが、けっこうお…

金融権力

『金融権力 グローバル経済とリスクビジネス』本山美彦、岩波新書、2008 サブプライムローン破綻以後の経済危機の解説本。大学でちゃんと経済学を履修していない人でも、ある程度のことはわかるようになっている。説明はていねいなので、そういう部分は便利…

闘え!ドラゴン 電光石火

「闘え!ドラゴン 電光石火」、倉田保昭ほか出演、外山徹、田村正蔵監督、宣弘社、東京12チャンネル、1975 東京12チャンネル「闘え!ドラゴン」の劇場用再編集版第一作。といっても、元のテレビシリーズは見てないので、これが初見。EPGの番組紹介だと、香港…

外交官の「うな重方式」英語勉強法

『外交官の「うな重方式」英語勉強法』多賀敏行、文春新書、2008 外務省では職員の英語研修をどのようにやっているのか、と思って買って読んでみたが、ハズレ。そういうことは書いていない。表題の「うな重方式」というのは、単語を単独で覚えるのではなくて…

ピクニック

『ピクニック』雁須磨子、太田出版、2001 コミック短編集。エロ要素は入っているものもあるが、その作品もいわゆる「エロまんが」ではない。内容は、中年男と中学生のロマンスから、ガチのゲイ恋愛までいろいろ。 絵柄はそんなに好きになれないが、ストーリ…

ベルリンフィル ジルベスター・コンサート2007

ボロディン「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊り」、「交響曲第2番」、ムソルグスキー「ホヴァンシチナ」前奏曲、組曲「展覧会の絵」、サイモン・ラトル指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団、2007.12.31 ベルリンフィルのジルベスター・コンサート。こ…

快読100万語!ペーパーバックへの道

『快読100万語!ペーパーバックへの道』酒井邦秀、ちくま学芸文庫、2002 英語学習の方法論の本。とにかく、英語の簡単な本(graded readers)をたくさん読め、辞書はひくな、というもの。最初は?と思っていたが、読み進めていくと、著者がそのように主張す…

東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜

『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』リリー・フランキー、扶桑社、2005 図書館の棚にあったのを見つけて読んでみることに。映画はかなりベタベタだったので、こっちはどうかと思ったが、確かにベタベタではあるが、本はかなりよく書けている。…

ゲド 戦いのはじまり

「ゲド 戦いのはじまり」、ショーン・アシュモア、クリスティン・クルックほか出演、ロバート・リーバーマン監督、アメリカ、2004 スーパー!ドラマTVでかかっていたので、見ました。SCI FIチャンネル制作のミニシリーズ。吹き替え版のほうである。基本的に…

ベルリンフィル ジルベスターコンサート2008

ガーシュイン「キューバ序曲」、バーバー「弦楽のためのアダージョ」、コープランド「アメリカの古い歌」、アダムズ「高速機械で早乗り」、ワイル「音楽悲劇 星空に消えて」より、ガーシュイン「ポーギーとベス」より、ガーシュイン「パリのアメリカ人」 ポ…

倉敷チボリ公園

「倉敷チボリ公園」 この小さい遊園地もとうとう昨日、2008年12月31日で閉園になってしまった。営業は1997年からだったというので、バブルなプロジェクトだったんですね。第三セクター方式の会社だったが、やはり倉敷ではねぇ。特に、平日にお客を呼ぶのはた…