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自衛隊の闇組織

石井暁『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』講談社現代新書、2018 著者は共同通信編集委員。この本は、「陸幕運用支援・情報部別班」のレポート。 「別班」は、陸上自衛隊のヒューミント組織。人数ははっきりしていないが、数十人規模か。メンバー…

日本人のための軍事学

橋爪大三郎、折木良一『日本人のための軍事学』角川新書、2018 橋爪大三郎と、元統幕長、防衛大臣政策参与の折木良一の対談本。これは非常によく書けている。 前の部分は安全保障や防衛についての基礎的なことの確認だが、終わりの部分は、米朝首脳会談以後…

ナノ兵器

ルイス・A・デルモンテ(黒木章人訳)『人類史上最強 ナノ兵器 その誕生から未来まで』原書房、2017 驚愕すべき本。ここに書かれていることが本当に実現するのだったら、すごいこと。著者は、ある会議で議論された結果を述べているが、人類が21世紀末までに…

北朝鮮の核攻撃がよくわかる本

辺真一、兵藤二十八、野口邦和、嶋田康宏『北朝鮮の核攻撃がよくわかる本』宝島社、2017 時流便乗本だが、いま出たのなら意味がある本。著者のように書かれている部分は「監修者」となっており、どこまでが実際の執筆者か、よくわからない。まあ、ライターに…

北朝鮮がアメリカと戦争する日

香田洋二『北朝鮮がアメリカと戦争する日 最大級の国難が日本を襲う』幻冬舎新書、2017 元自衛艦隊司令官の著者が、北朝鮮との戦争について書いた本。今月出た本だが、これは読むべき本。 北朝鮮とアメリカの戦争はもはや不可避。それはこの本をよむような人…

東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる

兵藤二十八『東京と神戸に核ミサイルが落ちたとき所沢と大阪はどうなる』講談社、2017 時節柄、過激なタイトルが売れるのだが、そういうものなので、しかたがなし。というより、こういうことも実際にあり得ることなので、タイムリーといえばいえる。 この本…

NPT 核のグローバル・ガバナンス

秋山信将編『NPT 核のグローバル・ガバナンス』岩波書店、2015 秋山信将の、「NPT概説本」。これはよくできている。成功の原因は、外務省でこの問題の実務をしている人(西田充、樋川和子)が執筆者に入っていること。この問題は実務をやっている人でないと…

戦術の本質

木元寛明『戦術の本質 戦いには不変の原理・原則がある』サイエンス・アイ新書、2017 木元氏の新著。これは、新しい米陸軍野外教令(ストライカー旅団戦闘団)の内容を解説したもの。 戦術の基本的な原則から、戦いの基盤(戦闘力、情報、兵站、衛生、人事、…

戦争にチャンスを与えよ

エドワード・ルトワック(奥山真司訳)『戦争にチャンスを与えよ』文春新書、2017 エドワード・ルトワックの新著。しかし書き下ろしというよりは、訳者の奥山真司との対談を原稿にしたものが多い。内容は非常に面白い。 不穏なタイトルだが、内容も不穏な本…

歩兵 驚きの装備と凄い戦闘力

博学こだわり倶楽部(編)『歩兵 驚きの装備と凄い戦闘力』河出書房新社、2015 編集プロダクション(しかも名前がダサい)の本で、どうかなと思ったが、河出書房新社から出ているし、現代歩兵の状態を書いた本は少ないから読んでみた。結果からいえば、非常…

知られざるステルスの技術

青木謙知『知られざるステルスの技術 現代の航空戦で勝敗の鍵を握る不可視化テクノロジーの秘密』サイエンス・アイ新書、2016 2016年の年末に出た本。この分野の新しい知識が詰まっている。 防衛省の先進技術実証機のことから、ステルス技術の基礎、アメリカ…

日本の安全保障

加藤朗『日本の安全保障』ちくま新書、2016 これは完全に頭がおかしい本。加藤朗は、前から変な人だと思っていたが、この人が書いた本は読むだけムダだと確信した。 中江兆民『三酔人経綸問答』を引用して、「安倍政権の安保政策は豪傑君、護憲派は洋学紳士…

60分で名著快読 クラウゼヴィッツ『戦争論』

川村康之『60分で名著快読 クラウゼヴィッツ『戦争論』』日経ビジネス人文庫、2014 2004年にナツメ社から出た『図解雑学 クラウゼヴィッツの戦争論』の文庫化したもの。元の版はタイトルで非常に損をしていて、程度の低い本のように見られているが、この版も…

狙撃の科学

かのよしのり『狙撃の科学 標的を正確に撃ち抜く技術に迫る』サイエンス・アイ新書、2013 狙撃手(ライフル競技選手、ハンター含む)の技術についての本。著者は、実際にこれを実践している人なので、細かい手順が書かれている。とてもおもしろい。 銃の選択…

「地政学」は殺傷力のある武器である

兵藤二十八『「地政学」は殺傷力のある武器である』徳間書店、2016 兵藤二十八の本が、たまたま図書館に入っていたので、ひさしぶりに読んだ。非常に快調で、楽しく読めた。 「地政学」と言っていて、実際に、マハン、マッキンダー、スパイクマンと、ドイツ…

賛成反対を言う前の集団的自衛権入門

香田洋二『賛成反対を結前の集団的自衛権入門』幻冬舎新書、2014 元自衛艦隊司令官の著者になる、集団的自衛権の解説本。ちょうど集団的自衛権についての閣議決定の後で出だ。内容は、昔の自衛隊の話に始まって、法律の問題点や集団的自衛権がないと解釈され…

戦争の社会学

橋爪大三郎『戦争の社会学 はじめての軍事・戦争入門』光文社新書、2016 橋爪大三郎の、「軍事・戦争入門書」。ぜんぜんこの分野について知らない人は読んだほうがいいかもしれない。しかしこれは危ない本。『ふしぎなキリスト教』とその批判本を読んで、著…

安全保障入門

石動竜仁『安全保障入門』星海社新書、2016 今月出たばかりの本。著者はブロガー。プロではない。しかも新書で「安全保障入門」というデカいタイトル。大丈夫なのか?と思ったが、これは非常な良書。 伝統的安全保障理論、軍事、平和研究、最近の問題、日本…

軍用ドローン年鑑

井上孝司、竹内修『軍用ドローン年鑑』イカロス出版、2016 年鑑というからには、刊行年がついてないと、と思うが、それはない。しかし書籍ではなく、雑誌扱い。日進月歩の分野なので、こういう扱いの方がいいのだろう。 120ページなのに、2500円するのだが、…

武器輸出と日本企業

望月衣塑子『武器輸出と日本企業』角川新書、2016 武器輸出三原則の改定関係で新しいことが書かれているかと期待して読んだが、これはただのダメ本。著者は、中日新聞記者。ろくでもないわ。帯に「森達也氏推薦」と大きく書いてあったので、いやな予感はして…

核に魅入られた国家

会川晴之『核に魅入られた国家 知られざる拡散の実態』毎日新聞出版、2016 著者は毎日新聞編集委員。この本は、パキスタン、イラン、日本を取材してまとめた本。 パキスタン編が一番よく書けていて、パキスタンが核武装に至った経緯が当事者への取材で明らか…

やがて哀しき憲法九条

加藤秀治郎『やがて哀しき憲法九条』展転社、2016 憲法九条をめぐるこれまでの議論を拾い出して紹介する本。体系的な議論はしていないが、法律の教科書ではないので、それは問題ない。それより、誰が何を言っていたかをていねいに拾っているのがおもしろい。…

戦車の戦う技術

木元寛明『戦車の戦う技術 マッハ5の徹甲弾が飛び交う戦場で生き残る』サイエンス・アイ新書、2016 著者は元陸上自衛隊第71戦車連隊長、幹部学校主任研究開発官、陸将補で退役という経歴の人。ほかにもいろいろと著書がある。『本当の戦車の戦い方』は読んだ…

ミサイルの科学

かのよしのり『ミサイルの科学 現代戦に不可欠な誘導弾の秘密に迫る』サイエンス・アイ新書、2016 かのよしのりの新著。こっちはミサイル編。 弾道ミサイルから対戦車ミサイルまで、あらゆる種類のミサイルを扱っている。分類、誘導方式、推進方式、弾頭の種…

重火器の科学

かのよしのり『重火器の科学 戦場を制する火砲の秘密に迫る』サイエンス・アイ新書、2014 これは非常に便利でありがたい本。車両と銃はそれなりに本があるのに、大砲は本が少ない。巻末の参考文献リストを見ても、佐山二郎のNF文庫に入っている『大砲入門』…

補給戦

マーチン・ファン・クレフェルト(佐藤佐三郎訳)『補給線 ─何が勝敗を決定するのか』、中公文庫、2006 これは名著。16世紀から第二次世界大戦までの「補給戦」の歴史。これだけの長い期間の戦争史を、日の当たらない補給に焦点を当てて書くことは、膨大な文…

いまこそ知りたい自衛隊のしくみ

加藤健二郎『いまこそ知りたい自衛隊のしくみ』、日本実業出版社、2004 もう11年前に出た自衛隊本。当然新しい話は出ていない。それでも、砲撃観測、地雷処理、築城、海洋業務群の仕事など、ためになるところはいくつかあった。一般向けにざらっとしたことを…

世界の軍事情勢と日本の危機

高坂哲郎『世界の軍事情勢と日本の危機』、日本経済新聞社、2015 タイトルを見て、生ぬるい本か、でなければトンデモ本かと思ったが、読んでみると、ずっとまともな本。著者は、日経新聞編集委員。 日本の安全保障の問題は、縦割り、アメリカ頼み、トップが…

基地はなぜ沖縄に集中しているのか

NHK取材班『基地はなぜ沖縄に集中しているのか』、NHK出版、2011 NHK沖縄放送局のスタッフが、2010年6月20日放送の「BS特集」「現場報告 アメリカ海兵隊~変わる沖縄駐留の意味」と、2010年12月5日放送の「NHKスペシャル」「シリーズ日米安保50年 第2回 沖縄…

自衛隊が危ない

杉山隆男『自衛隊が危ない』、小学館、2014 2014年発行というのはこれが電子版だからで、底本は2009年に出ている。著者にしてはめずらしい、自衛隊の問題に対する批判を集めた本。 論点は、「軍人」精神の欠如、戦前からの伝統の無批判な受容、アメリカ追随…