2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ちづかマップ

衿沢世衣子『ちづかマップ』講談社、2016 これは小学館から3巻本で出ているものなので、なんで同じタイトルで巻数が入っていないものが出ているのか、よくわからなかった。もとは違う雑誌で違うタイトル(「尋ネ人探偵」)で連載されていたものが、登場人物…

うちのクラスの女子がヤバい 1

衿沢世衣子『うちのクラスの女子がヤバい』1、講談社、2016 この作者、どこで読んだっけと思っていたら、「ちづかマップ」の人だった。あれはおもしろかったが、こっちは全然毛色の違う話。うちのクラスの女子だけが持っている特殊能力、「無用力」が出現す…

イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ

トルストイ(望月哲夫訳)『イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ』光文社古典新訳文庫、2013 トルストイをほとんど読んだことがないので、取り付きやすい中編を読んだが、こういう話なの? 「イワン・イリイチの死」は、非常に読みやすくおもしろい。…

ジンジャーの朝

「ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界」、エル・ファニング、アリス・イングラートほか出演、サリー・ポッター監督、イギリス、デンマーク、カナダ、クロアチア、2012 1962年、キューバ危機が起こっている最中のイギリス。ジンジャーとローザは、…

ドキュメント72時間 トラック一人旅 風に吹かれて

「ドキュメント72時間」、「トラック一人旅 風に吹かれて」、NHK総合、2017.6.30 佐賀県鳥栖のトラックステーション。鳥栖は、九州での高速道路のジャンクションがあるところ。Amazonの倉庫があるのもそれが理由。このトラックステーションは、駐車場、食堂…

無面目・太公望伝

諸星大二郎『無面目・太公望伝』潮出版社、1989 古本屋で見つけて拾ってしまった。これは昔読んだはずだが、おぼろげにしか覚えていないので、2度買いしても問題なし。 「無面目」は、莊子の「渾沌、七竅に死す」の話を漢の武帝時代の巫蠱事件にくっつけたも…

チェーホフ

浦雅春『チェーホフ』岩波新書、2004 チェーホフの概説書。ボリュームは少ないが、いままで読んだ中で、一番なっとくがいった。 意味がありそうで意味のない会話をしている登場人物、感情の欠如、喜劇のスタイルで、悲惨な幕切れ。空回りする情熱。チェーホ…

チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ボリソグレブスキー/N響

ベートーヴェン 「コリオラン」序曲 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ヴァイオリン:ニキータ・ボリソグレブスキー ベートーヴェン 交響曲第7番 高関健指揮、NHK交響楽団、さくらぴあ大ホール、2017.7.23 N響の地方公演は、今年は廿日市。本当は広島市…

韓国人に生まれなくてよかった

武藤正敏『韓国人に生まれなくてよかった』悟空出版、2017 著者は元韓国大使。にしては、このタイトルはどうなのかと思うが、この方が売れるのだろう。内容は、韓国というよりは文在寅政権への不満。 文在寅とは、前回大統領選挙の時に接触を持っているが、…

裏切りの戦場 葬られた誓い

「裏切りの戦場 葬られた誓い」、マチュー・カソヴィッツほか出演、マチュー・カソヴィッツ監督、フランス、2011 ニューカレドニア諸島のウベア島で1988年に起きた「ウベア島事件」の映画。この事件のことをまったく知らず、さらにニューカレドニア諸島で独…

さよなら、カルト村

高田かや『さよなら、カルト村 思春期から村を出るまで』文藝春秋、2017 著者の前作『カルト村で生まれました』に次ぐ、ヤマギシ会での生活の記録。この本で扱っているのは、中等部(中学生)から高等部まで。その後の生活と現在の夫との出会いについても少…

実録・北の三叉路

安宿緑『実録・北の三叉路』双葉社、2015 著者は、在日朝鮮人、30代、女性。朝鮮大学校を卒業して、総連の出版報道部門に勤務した後退職し、現在はフリーの編集者、ライター。 朝鮮学校を初級から高級、大学校まで通して卒業し、総連勤務で、記者として北朝…

漢文の素養

加藤徹『漢文の素養 誰が日本文化をつくったのか?』光文社新書、2006 日本への漢文移入についての本。古代の話はほとんど知らなかったので、勉強になった。 卑弥呼は漢字が書けたのかといえば、それはわからないという話。結局、漢文をまともに書けるように…

1984年(1984年映画版)

「1984年」、ジョン・ハート、リチャード・バートン、スザンナ・ハミルトンほか出演、マイケル・ラドフォード監督、イギリス、1984 これはひさびさに見返した。あまり印象がよかったわけではないが、今見ても微妙。そういえば、これは封切り時に見たような。…

京都のおねだん

大野裕之『京都のおねだん』集英社新書、2017 著者は、1974年生まれ。『チャップリンとヒトラー』の著者。この本は、著者が見た、「京都にあるいろいろなものの値付け」の話。 著者は、大学まで茨木で、大学からはずっと京都にいるということなので、もう20…

ど根性ガエルの娘 2, 3

大月悠祐子『ど根性ガエルの娘』2,3、白泉社、2016, 2017 『ど根性ガエルの娘』の2巻と3巻。サクッと読めたが、これは1巻よりさらにインパクトが強い。1巻では、ひたすら夫婦関係のよさに焦点が当たっていたのだが、この奥さん(つまり作者の母)は、夫との…

ど根性ガエルの娘 1

大月悠祐子『ど根性ガエルの娘』1巻、白泉社、2016 作者は、「ど根性ガエル」の作者、吉沢やすみの娘。この作品は、その父親と家族についての実話。 「ど根性ガエル」は、もともとアニメでしか知らなかった。昔は家がマンガ禁止だったので、漫画誌を読んでい…

ドキュメント72時間 ゆらゆら くらげに誘われて

「ドキュメント72時間」、「ゆらゆら くらげに誘われて」、NHK総合、2017.6.16 山形の水族館「鶴岡市立加茂水族館」のロケ。ここはくらげが売り物。5mのミズクラゲのいる大水槽はくらげだらけ。 客は山形近郊だけでなく、東京や名古屋などの遠隔地からもよく…

回思九十年

白川静『回思九十年』平凡社、2000 白川静が日経の「私の履歴書」に書いたものと、いろんな雑誌で対談した記事を集めたもの。「私の履歴書」は、連載当時に読んだ記憶があるが、これは1999年のことなので、もう18年前。 日経は新聞だから、これだけは甲骨文…

東京ディープツアー

黒沢永紀(編)『東京ディープツアー 2020年、消える街角』毎日新聞出版、2016 東京に残っている、昔のかけらを拾い集めた本。ネタは、近代建築、飲み屋街、色街、住宅、といったもの。 近代建築遺産は、すでにいろんなところで紹介されているが、特に住宅は…

日本人と中国人

陳舜臣『日本人と中国人 ─”同文同種”と思い込む危険』祥伝社新書、2005 これは、陳舜臣が、1971年に書いたエッセイを再版したもの。ちょうど日中国交正常化の頃で、「今の中国について書いてくれ」と言われた著者が、「そんなものより中国の歴史のことを書く…

朝鮮大学校研究

産経新聞取材班『朝鮮大学校研究』産経新聞出版、2017 産経の朝鮮大学校本。こっちは日共と違い、他の情報源がほとんどないので、面白半分で読んでみた。 朝鮮大学校は、もはや全学の学生数が600人しかいないという。政治経済、文学歴史、経営、外国語、理工…

文部省の研究

辻田真佐憲『文部省の研究 「理想の日本人像」を乙女と150年』文春新書、2,017 辻田氏の新刊。これは文部省の歴史。教育勅語ネタと言うところから出てきたらしいが、これは良い着眼。 文部省は最初のうちこそ、学制を作るなど、非常に仕事が多かったのだが、…

霧につつまれたハリネズミ

「霧の中のハリネズミ」、ユーリ・ノルシュテイン監督、ソ連、1975 この前見た、ノルシュテインのドキュメンタリーがあまりにおもしろかったので、作品を見てみた。これは10分ちょっとのもの。 童話っぽい体裁になっているが、子供なら入れるとか、子供しか…

この自伝評伝がすごい

成毛眞『この自伝・評伝がすごい』KADOKAWA、2017 書評サイトの主催者で経営者の著者による伝記の書評本。 カバーしているのは経営者、学者、スポーツマン・芸能人、政治家、歴史上の人物。 経営者のところは、確かにおもしろい。それから、スポーツマン・芸…

ドキュメント72時間 東京・渋谷 モスクで会いましょう

「ドキュメント72時間」、「東京・渋谷 モスクで会いましょう」、NHK総合、2017.6.9 代々木の東京ジャーミィがロケ地。見学自由なので撮影もできているが、職員に「神聖な場所なので、騒がないように」と注意されている。日本人のただの観光客もいるが、だい…

ドキュメント72時間 白い秘密の婚活ルーム

「ドキュメント72時間」、「白い秘密の婚活ルーム」、NHK総合、2017.6.2 新宿駅西口に近いビルの中にある「婚活ルーム」の取材回。IBJというブライダル会社の施設。これは、ビルのワンフロアが、白いブースに仕切られていて、そのブースで1対1で話をすると…

新訳 チェーホフ短編集

チェーホフ(沼野充義訳)『新訳 チェーホフ短編集』集英社、2014 沼野充義の新訳というので読んでみた。新訳だからこれまでの翻訳とは違っていないといけないのだが・・・。これはかなり違っている。まずタイトル。「可愛い女」が、「かわいい」くらいはい…

恋とセックスで幸せになる秘密

二村ヒトシ『恋とセックスで幸せになる秘密』イースト・プレス、2011 いちおう女に対して著者が助言するというスタイルにはなっているが、男女両方の分析になっているので、趣旨は一貫している。著者の言いたいことをきちんとまとめた本。 まず著者が言って…