2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

詩経・楚辞

牧角悦子訳『詩経・楚辞』角川ビギナーズ・クラシックス、2014 詩経と楚辞の抄訳だが、これはかなり驚いた。というか、古代詩の翻訳は、自分が昔読んだものとはもはやぜんぜん違ったものになっている。 詩経は無難な訳しか読んでいなかったが、これを読むと…

言ってはいけない中国の真実

橘玲『言ってはいけない中国の真実 橘玲の中国私論』ダイアモンド社、2018 これは非常な好著。中国専門家ではない著者が、中国社会のおよその構造について、だいたい適切なことが言えている。 結局中国社会は人口が多すぎ、多様性がありすぎる。これを一つに…

妻のトリセツ

黒川伊保子『妻のトリセツ』講談社+α新書、2018 黒川伊保子の新著。しかし著者ではなく、援助者となっており、あとがきを読むとライターの書いた原稿に手を入れて監修した程度とも言える。実質的にはこの人は科学者と言うよりは、エッセイストみたいなもの。…

戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊

川島博之『戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊』講談社+α新書、2017 これも快著。中国社会分析として、おもしろい視点を提供している。一番の鍵は、農村戸籍と都市戸籍。農村戸籍保持者が9億人。都市戸籍保持者が4億人余りいるが、都市戸籍保持者のうち、富…

習近平のデジタル文化大革命

川島博之『習近平のデジタル文化大革命』講談社+α新書、2018 これは好著。現在の中国の政治路線を説明するだけでなく、中国の歴史的な構造や文化的な構造も併せて分析できており、全体を見通した中国社会論になっている。 中国は今がバブルの終末期。人口減…

「統一朝鮮」は日本の災難

古田博司『「統一朝鮮」は日本の災難』飛鳥新社、2018 古田博司はだいたいどの本も同じような感じだが、これもそうで、基本は韓国と北朝鮮は同じであり、朝鮮王朝やその前からずっと受け継がれてきた歴史のパターンを反復しているから、いつまでたっても同じ…

半分、青い 第26週

「半分、青い」第26週、「幸せになりたい!」 この週でおわり。しかし、これは失敗作。 結局、そよ風ファンが完成しただけ。鈴愛と律の関係は中途半端。それに本筋に関係あるのかどうかわからない、いろいろな要素を入れすぎ。 地震は、このタイミングで入れ…

半分、青い 第25週

「半分、青い」第25週、「君といたい!」 鈴愛と律の扇風機開発の話と、それに鈴愛の別れた旦那、涼次がからむ話。しかし、最終週の前で、この展開は失敗。 律の扇風機開発の話は、これ自体があまりおもしろくないだけでなく、ストーリーにはめ込むこと自体…

日本衆愚社会

呉智英『日本衆愚社会』小学館新書、2018 呉先生の新刊。あいかわらずの快調なペース。 呉智英はたしか1948年生まれだったので、70歳。書き物をするのに年をとりすぎというほどのことはない。書いていることはあいかわらずで、読んでいて気持ちいい。土人、…

言ってはいけない中国の真実 橘玲の中国私論

橘玲『言ってはいけない中国の真実 橘玲の中国私論』ダイヤモンド社、2018 橘玲の中国論。これはおもしろかった。 著者の中国論の基本は、「中国は人口が多すぎる社会」。これがあるから、中国社会では、中央の権力が末端に浸透することがない。日本とは統治…

出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間の事

花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本を進めまくった1年間のこと』河出書房新社、2018 話題の本だったが、非常に面白かった。出会い系サイトというのは、この人にとってのきっかけで、そこでいろんな人と会って話すことによ…

まじめな時間 1-2

清家雪子『まじめな時間』1-2、講談社、2012 幽霊ものマンガ。主人公の女子高生、一沙は、車にはねられて頓死。そのまま霊になってしまう。死んだ人は霊になり、成仏するまでそのへんに適当にただよっている。霊は、生きている人の世界を見ることができるの…

日本4.0

エドワード・ルトワック(奥山真司訳)『日本4.0 国家戦略の新しいリアル』文春新書、2018 ルトワックの新著。これも訳者によるインタビューをまとめたもの。いろいろなところに話が飛ぶが、座談のおもしろさがよく出た本になっている。 内容は、日本、北朝…

半分、青い 第23週

「半分、青い」第23週、「風を知りたい!」 律は会社を退職。しかし退職してから何をするのか、アテが立っていない。晴は入院。最初は初期のがんだから、大したことはないと思われていたが、そんなによくはなかった。 律は、今までとは違う、自然の風に近い…

メガネと放蕩娘

山内マリコ『メガネと放蕩娘』文藝春秋、2017 これは「シャッター商店街」をネタにした小説。地方によくあるシャッター商店街をどうすれば再生できるかという話。 結局再生というよりは、再開発されて大きなビルが建ち、そこはほとんどマンションになるとい…

ヨゼフ・チャペック エッセイ集

ヨゼフ・チャペック(飯島周編訳)『ヨゼフ・チャペック エッセイ集』平凡社、2018 これはカレル・チャペックと間違えて買った本。著者は、画家、ジャーナリストで、カレル・チャペックの兄。 作家ではないが、この本を読むと兄弟で才能は同じレベルであり、…

いまさらですがソ連邦

速水螺旋人、津久田重吾『いまさらですがソ連邦』三才ブックス、2018 ソ連のいろいろネタについての本。そんなに厚い本ではないが、書いている人はソ連オタクなので、内容はきちんとしている。 ソ連は1991年になくなったから、もう27年前のこと。昭和みたい…

消滅世界

村田沙耶香『消滅世界』河出書房新社、2018 これはキチガイ小説。ハクスリー『すばらしい新世界』のアイディアを使っているが、ハクスリーが出産と育児を中心的に扱っていたのに対して、こちらはそのもとになるセックスを扱っていて、こっちのほうがよくでき…

半分、青い 第23週

「半分、青い」第23週、「信じたい!」 律がアメリカから帰ってきたところから始まった。この間、律は離婚。アメリカに行かせたのはこのため。鈴愛は、シェアオフィスという自分会社で発明したものを売ったり、五平餅屋台を出したりして、なんでもして生きて…