識名園

識名園

ここは昔来たような気もするのだが、ぜんぜん記憶にない。まあきれいに手入れがされた、よいお庭である。最初は首里城から散歩がてら歩こうかなどと無謀なことを考えていたが、車で行って正解。首里城から行くと、いったん丘を降りて、また丘に上がることになって、かなり骨折りである。

御殿側から池をながめると、池の中州にある六角形のあずまや(これはもとは四角四面の建物だったらしい)がちょっと中国風の香りをさせているほかは、ふつうの日本庭園っぽい。しかし、池側から、御殿をながめると、赤瓦に建物が重なるようになっていて、いかにも沖縄風の庭という感じがする。中州にかかった橋や、池の周りの石に琉球産の多孔質の石灰岩が使われていて、これも沖縄風。もっとも、おかげで石の上に腰掛けたりするわけにはいかない。

建物は築年が新しく、白木がきれい。部屋が斜めにつながっていて、風通しがよい。軒先に腰掛けて池をながめているときちんと手入れがされた芝生に広い池がよい対照になっていて心がなごむ。展望台になっている勧耕台からは、街が広く見渡せて気持ちよい。池から離れた奥のほうには南国の木が植えられていて、ここのベンチで本を読むのも、この季節にはゆっくりできる。広すぎず、狭すぎず、いいところである。