#アジア情勢

おどろきの中国

橋爪大三郎、大澤真幸、宮台真司『おどろきの中国』講談社現代新書、2013 橋爪、大澤、宮台の社会学者3人による中国についての鼎談。 中国がどういう「原理」で動いているのかを説明する第1部と、毛沢東時代を考察する第2部は、非常に勉強になった。鼎談本な…

宿命 習近平闘争秘史

峯村健司『宿命 習近平闘争秘史』文春文庫、2018 これは以前単行本で出ていた、『十三億分の一の男』の文庫化。しかし、前著が2015年までの情勢をもとに書かれてから、3年分の情報を追加して書き直されているので、新しい本として成立している。 内容は新聞…

言ってはいけない中国の真実

橘玲『言ってはいけない中国の真実 橘玲の中国私論』ダイアモンド社、2018 これは非常な好著。中国専門家ではない著者が、中国社会のおよその構造について、だいたい適切なことが言えている。 結局中国社会は人口が多すぎ、多様性がありすぎる。これを一つに…

戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊

川島博之『戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊』講談社+α新書、2017 これも快著。中国社会分析として、おもしろい視点を提供している。一番の鍵は、農村戸籍と都市戸籍。農村戸籍保持者が9億人。都市戸籍保持者が4億人余りいるが、都市戸籍保持者のうち、富…

習近平のデジタル文化大革命

川島博之『習近平のデジタル文化大革命』講談社+α新書、2018 これは好著。現在の中国の政治路線を説明するだけでなく、中国の歴史的な構造や文化的な構造も併せて分析できており、全体を見通した中国社会論になっている。 中国は今がバブルの終末期。人口減…

「統一朝鮮」は日本の災難

古田博司『「統一朝鮮」は日本の災難』飛鳥新社、2018 古田博司はだいたいどの本も同じような感じだが、これもそうで、基本は韓国と北朝鮮は同じであり、朝鮮王朝やその前からずっと受け継がれてきた歴史のパターンを反復しているから、いつまでたっても同じ…

言ってはいけない中国の真実 橘玲の中国私論

橘玲『言ってはいけない中国の真実 橘玲の中国私論』ダイヤモンド社、2018 橘玲の中国論。これはおもしろかった。 著者の中国論の基本は、「中国は人口が多すぎる社会」。これがあるから、中国社会では、中央の権力が末端に浸透することがない。日本とは統治…

消えた弁護士たち

「消えた弁護士たち 中国”法治”社会の現実」、NHK総合、2018.7.25 NHKスペシャルで放送された、中国の弁護士弾圧。これはキツイ。 拘束されてからもう3年になる弁護士と外の世界にいる、その奥さんが中心。当局の言うことを聞かない弁護士は、適当に捕まえら…

ロシアと中国 反米の戦略

廣瀬陽子『ロシアと中国 反米の戦略』ちくま新書、2018 タイトルは少し煽情的だが、内容は近年の中ロ関係の本。非常に内容が濃い。 上海協力機構ほかでいろいろと結びつきを深めているロシアと中国だが、実は一致できる点は、「アメリカの一国覇権に反対」と…

北朝鮮発 第三次世界大戦

柏原竜一『北朝鮮発 第三次世界大戦』祥伝社新書、2018 最近、比較的よく見かける著者の本。2018年はじめに出たので、その後の急展開はこの本には載っていない。 北朝鮮問題だけでなく、アメリカの政権内部の事情や中国、ロシアの事情についても書かれている…

北朝鮮で何が起きているのか

伊豆見元『北朝鮮で何が起きているのか 金正恩体制の実相』ちくま新書、2013 2013年半ば、金正恩が指導者になってから、1年半の時点での、著者による北朝鮮ウォッチングの内容とその分析に関する本。 著者の観察では、金正恩の政策は、基本的には金正日時代…

徹底討論 どうする!?どうなる!?「北朝鮮」問題

森本敏、田原総一朗『徹底討論 どうする!?どうなる!?「北朝鮮」問題』海竜社、2018 1月に出た、森本敏と田原総一朗の対談本。情報豊富でおもしろい。 北朝鮮との戦争があるかどうかについては、森本の見方はかなり慎重。とはいえ、ないとは言っていない…

北朝鮮核危機 全内幕

牧野愛博『北朝鮮核危機 全内幕』朝日新書、2018 北朝鮮情勢の最新本。このタイミングで出ている本は、当たりとは限らないが、朝日のエース記者の本だけのことはあり、非常に読みどころの多い本。 アメリカ、韓国、加えて中国など、とにかくいろいろな情報源…

朝鮮半島終焉の舞台裏

高橋洋一「朝鮮半島 終焉の舞台裏」扶桑社新書、2017 高橋洋一の、朝鮮半島戦争本。主要な論点について、大体の見通しを言っている。この問題の専門家ではないので、部分的におかしいところもない事はないが、この本では、そこまで生活は求められていないの…

衝撃スクープSP 金正男暗殺の真相 北朝鮮・史上最大の兄弟ゲンカ全記録

「衝撃スクープSP 金正男暗殺の真相 北朝鮮・史上最大の兄弟ゲンカ全記録」、フジテレビ、2017.10.8 録画しておいたものを今頃見たが、非常におもしろい。金正男暗殺事件のレポート番組だが、だいたいのことはつかんでいる。 金正男を暗殺した二人の実行犯は…

中朝国境の旅路

『中朝国境の旅路 延辺朝鮮族自治州を訪れて』 これは2016年の冬コミで手に入れた本。しかし、著者名、出版年などの書誌事項が何も書いていない。内容は著者が平成18年9月に図們市を訪問したときの記録。平成18年って、もう11年前ということになるのだが、こ…

韓国人に生まれなくてよかった

武藤正敏『韓国人に生まれなくてよかった』悟空出版、2017 著者は元韓国大使。にしては、このタイトルはどうなのかと思うが、この方が売れるのだろう。内容は、韓国というよりは文在寅政権への不満。 文在寅とは、前回大統領選挙の時に接触を持っているが、…

ルポ 絶望の韓国

牧野愛博『ルポ 絶望の韓国』文春新書、2017 朝日のソウル支局長、牧野愛博の最新刊。タイトルはあきらかに大げさ。こういうタイトルが売れるからつけただけというもの。ネタは、韓国社会全般で、幅広く集めている。 朴槿恵弾劾の背後にある韓国人の進学競争…

新版 北朝鮮入門

磯崎敦仁、澤田克己『新版 北朝鮮入門 金正恩体制の政治・経済・社会・国際関係』東洋経済新報社、2017 磯崎、澤田の『北朝鮮入門』の新版。2010年の第1版から7年で、新版が出たのは、金正恩体制になってからの北朝鮮の姿を説明するため。第1章が新たに書き…

中国、「宇宙強国」の野望

寺門和夫『中国、「宇宙強国」の野望』ウェッジ、2017 中国の宇宙開発に関する本。日本語ではほぼ類書がないので、非常にありがたい本。 初期のロケット開発から始まり、軍を中心とする宇宙開発体制、ロケット打ち上げ施設、人工衛星、月、火星探査計画、有…

台湾とは何か

野島剛『台湾とは何か』ちくま新書、2016 これは良書。著者は1968年生まれ、元朝日新聞記者で現在はフリーのジャーナリスト。『ふたつの故宮博物院』、『ラスト・バタリオン』の著者。まだ若い人だが、見識のある人。 この本は、現代台湾政治、それも蔡英文…

マンガで読む 嘘つき中国共産党

辣椒『マンガで読む 嘘つき中国共産党』新潮社、2017 タイトルだけ見た時は読まないでいいと思っていたが、よく読まれていて比較的まじめなものだと聞いたので読んでみた。内容は、中国の「反体制運動家」の主張。 著者はマンガ家なので、巻末の対談以外はす…

女が動かす北朝鮮

五味洋治『女が動かす北朝鮮 金王朝三代「大奥」秘録』、文春新書、2016 中日新聞の五味洋治による、「北朝鮮政治における女性の役割」。非常におもしろい。 基本的に北朝鮮は男性優位の社会だが、金王朝の三代独裁のおかげで、王である金日成、金正日、金正…

南シナ海

ビル・ヘイトン(安原和見訳)『南シナ海 アジアの覇権をめぐる闘争史』河出書房新社、2015 著者はジャーナリスト。BBCにいて、ベトナムについての本も書いている。この本は、南シナ海問題を歴史と、分野ごとの問題(国際法、エネルギー、ナショナリズム、外…

中国4.0

エドワード・ルトワック(奥山真司訳)『中国4.0 暴発する中華帝国』文春新書、2016 ルトワックの『自滅する中国』に続く中国本。こっちはもともと本として書き下ろされたものではなく、訳者の奥山真司のインタビューをもとにして構成されたもの。巻末に訳者…

中国GDPの大嘘

高橋洋一『中国GDPの大嘘』講談社、2016 高橋洋一による中国経済本。基本的には、中国の統計がどのくらい信用できないかという話をしている。 基本的な根拠はソ連時代の統計。ソ連の統計上のごまかしは、ソ連崩壊後に当事者のロシア人らが検証しているので、…

BS1スペシャル 密航ウイグル族を追って

「BS1スペシャル」、「密航ウイグル族を追って~バンコク爆弾テロの深層~」、NHKBS1、2016.1.22 中国から密航するウイグル族の取材番組。中国から出国してどこに行くかといえば、トルコ。トルコにウイグル族の町ができていて、2013年ごろから年間8000人くら…

韓国現代史

木村幹『韓国現代史─大統領たちの栄光と蹉跌』、中公新書、2012 もう新しいとはいえない本だが、非常におもしろい。李承晩から、李明博までの韓国大統領の人物と履歴を中心に、韓国の歴史を見る本。 この本の長所は、大統領という人に焦点があたっていて、大…

カラシニコフ II

松本仁一『カラシニコフ II』、朝日新聞出版、2010 前著 『カラシニコフ I』に続いて、AK銃の製造と使用の現場を追いかけた本。むしろ前著よりもおもしろいかもしれない。 こっちで取り上げているのは、コロンビア、パキスタン、アフガニスタン、イラク。こ…

巨龍の苦闘

津上俊哉『巨龍の苦闘』、角川新書、2015 中国経済の分析本。この分野では定評のある著者の本なので、期待して買ったが、予想を上回るおもしろさ。 中国経済は「崩壊」のような急速な収縮は起こらないものの、中期的には中央政府の財政問題、長期的には少子…