核開発 イランの現実

「核開発 イランの現実」、イラン、2007

これも先週、2009.2.27に、NHK BS1の「海外ドキュメンタリー」枠で放送されていたもの。イラン国営放送の英語専門局制作のドキュメンタリー。原題は "War and Peace: The Story of Nuclear Energy" 。

当然、イランの核開発の正当性を擁護するような内容になっているのだが、アメリカやヨーロッパの当局者や研究者の「イランの核開発は明らかに兵器開発だ」「イランは核兵器開発を隠匿している」という主張も紹介されており、イランの立場だけを紹介する内容ではない。

番組を見ると、イランが「核開発はNPTの下で認められた正当な権利」「アメリカやヨーロッパは、イランを圧殺するために核開発問題を利用している」「インドやイスラエルの核開発が黙許されているのに、イランの核開発だけが認められないのはダブルスタンダード」といった主張にこだわっていることが印象的。この点に関しては、ハタミとアフマディネジャドの間に大きな違いがあるとは思われない。核開発を国家の面子の問題だと捉える視点が強く感じられ、北朝鮮の核開発と相通ずるところが大きい。

この番組はイラン国内で放送されたのだろうが、視聴者(当然英語が理解できる知識層)がこの内容をどのように受け取ったのか、非常に興味深い。また、北朝鮮に比べると、宣伝の手法が洗練されており、自国の正当性を国際社会に訴えることに、彼らが強い関心をもっていることもうかがわれる。