2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

クイーン

「クイーン」、ヘレン・ミレン主演、スティーブン・フリアーズ監督、イギリス、フランス、イタリア製作、2006 ダイアナ妃事故から一週間、葬儀にいたるまでのエリザベス女王を中心とする英王室の人々のお話。ダイアナ妃をすでに王室とは関係ない個人のことと…

留学で人生を棒に振る日本人

栄陽子『留学で人生を棒に振る日本人』、扶桑社新書、2007 留学がここまで一般的になる一方で、留学についての基本的な情報をよく知らないままで大学だという触れ込みでコミュニティカレッジに入ってしまったり、大学付属の語学学校で大学編入の見通しもない…

友情

NHKFMシアター「友情」、フレッド・ウルマン原作、佐藤久美子脚色、石田法嗣 成瀬誠主演、川野秀昭演出、2007.4.28 FMシアターの「シリーズ・ドイツの現代文学」の一編。ナチス台頭前夜のドイツのギムナジウムでの少年同士の交情、という話。ちょっとBLっぽ…

諜報機関に騙されるな!

野田敬生『諜報機関に騙されるな!』、ちくま新書、2006 著者は公安調査庁にいた人物で、諜報関係の問題については理論と実務の両方に精通しているから、この本も非常に内容の濃いものになっている。アメリカのイラク侵攻前の大量破壊兵器についての諜報活動…

マンガ美術館&スポットガイド

進藤やす子『マンガ美術館&スポットガイド』、技術評論社、2006 日本各地のマンガ美術館(博物館、記念館)やマンガにちなんだスポット(マンガロードその他)をイラストで紹介するという本。ジブリ以外にそんなにいっぱいあるのか?と思ったわりにはけっこ…

のだめカンタービレ

二ノ宮知子『のだめカンタービレ』1~16、講談社、2002-2006 やっとコミックスを16巻まで読めた。近所のレンタルコミック屋にはまだ17巻が入ってないので、それは読めてない。これでようやくパリ編がどう展開しているかがわかった。しかしパリ編は日本編…

ブラックブック

「ブラックブック」、カリス・ファン・ハウテン主演、ポール・バーホーベン監督、オランダ、ドイツ、イギリス、ベルギー映画、2006 あまり期待しないで見に行ったが、これはおもしろかった。大戦末期、ユダヤ人の歌手がオランダから連合軍に占領されているベ…

右と左

ノルベルト・ボッビオ(片桐薫、片桐圭子訳)『右と左』、御茶ノ水書房、1998 副題「政治的区別の意味と理由」のとおり。右翼と左翼の違いを「平等主義に対する態度」に求める仮説には説得力がある。しかし、展開不足の感じは否めない。左翼についてはそれで…

ポル・ポト<革命>史

山田寛『ポル・ポトk<革命>史』、講談社、2004 『ポル・ポト伝』の翻訳者で、自身、ポル・ポト政権期のカンボジアを取材しているジャーナリストの著者によるポル・ポト政権の略史。政権誕生までの歴史は比較的簡略に叙述されており、ポル・ポト政権成立後…

ベルサイユのばら大事典

池田理代子『ベルサイユのばら大事典』、集英社、2002 これは三浦しをんの本にエッセイが出ていたので手に入れることができた。ベルばら30周年の記念ムック。登場人物の解説(池田理代子の一言コメントつき)、作品の背景、クイズ(むちゃくちゃ難しい。全問…

頭を冷やすための靖国論

三土修平『頭を冷やすための靖国論』、ちくま新書、2007 完全に議論が分裂し、妥協案が出てはつぶれていく状態にある靖国神社の位置づけに関する議論に一石を投じる良書。同じ著者による『靖国問題の原点』の改訂版にあたるものだが、重要な史料にあたり、ま…

マネーロンダリング入門

橘玲『マネーロンダリング入門』、幻冬舎新書、2006 マネーロンダリングについての過去のさまざまな事件と基本的な手口を紹介する本。このテーマだといくらでも大部の複雑な本を書くことができると思うが、著者は非常に手際よく、読みやすいようにまとめるこ…

三四郎はそれから門を出た

三浦しをん『三四郎はそれから門を出た』、ポプラ社、2006 三浦しをんのエッセイは全部読んだはずと思い込んでいたらまだあった。ただし、「しをんのしおり」収載のものではなく、読書エッセイを中心に、雑誌に掲載されたエッセイをまとめたもの。読書エッセ…

緯度0大作戦

「緯度0大作戦」、ジョゼフ・コットン、宝田明主演、本多猪四郎監督、東宝、1969 本多猪四郎監督、円谷英二特技監督、伊福部昭音楽という豪華な製作陣で話には聞いていたが見たことはなかったという映画。確かに特撮部分はよくできている。「海底軍艦」「マ…

目玉の学校

赤瀬川原平『目玉の学校』、ちくまプリマー新書、2005 赤瀬川原平が「目でものを見ること」について、いろんな観点から書いた本。これは非常におもしろかった。錯覚、ステレオ写真、トマソン、絵画といったものをネタにして、目で見るということはどういうこ…

雁の寺

「雁の寺」、若尾文子、高見国一主演、川島雄三監督、大映、1962 確か前に見たはずなのだが、断片的な記憶しかなく、ストーリーはほぼ忘れていた。水上勉の原作は未読。俗物の和尚と妾、小僧の三人の愛憎の話。若尾文子はほどよくエロいが、あまり下品でない…

戦時期日本の精神史

鶴見俊輔『戦時期日本の精神史 1931~1945年』、岩波書店、1991 1982年に刊行された本の再刊。著者の関心は主に「転向」問題にあてられているので、戦前、戦中期に国家からの強制を受けて思想転向した人としなかった人に主要な焦点があてられている。しかし…

ポル・ポト伝

デービッド・P.チャンドラー(山田寛訳)『ポル・ポト伝』、めこん、1994 民主カンボジア首相、カンボジア共産党書記長だったポル・ポトの伝記。大量死の責任者として名高いポル・ポトだが、著者の筆は淡々と事実を追い、謎の多いポル・ポトの全体像を少ない…

私が語りはじめた彼は

三浦しをん『私が語りはじめた彼は』、新潮社、2004 三浦しをんの長編、というよりは同じネタ(ある大学教員の死)をめぐって、彼に関わる何人かの視点から書かれた連作短編集のようなもの。いろいろな人が「村川」(死んだ教員)について語るのだが、村川に…

六○年安保闘争の真実

保阪正康『六○年安保闘争の真実』、中公文庫、2007 86年に講談社現代新書として出ていた『六○年安保闘争』を改題したもの。若干の加筆はされているらしいが、二、三の事実誤認以外の訂正はしていないと著者がのべている。内容はひどいもので、著者の個人的感…

エスケイプ/アブセント

絲山秋子『エスケイプ/アブセント』、新潮社、2006 絲山秋子の新刊。といっても出たのは去年の暮れ。きっと図書館に入るだろうとおもって、待っていた。ごめんね、絲山秋子。そういえば、もうじき新刊が出るそうだ。内容は、元過激派活動家の「おれ」が活動…

吾輩は猫である

「吾輩は猫である」、仲代達矢主演、市川崑監督、芸苑社、1975 市川崑監督による映画化。仲代達矢はじめ、細君に波野久里子、ほかに伊丹十三、岡本信人、島田陽子、岡田茉莉子、三波伸介、緑魔子ほか味のある配役。で、それはいいがどうにもつまらない。だい…

失楽園

「失楽園」、役所広司、黒木瞳主演、森田芳光監督、角川書店ほか、1997 CSでかかっていたのでついつい見てしまった。原作は日経連載時に読んでいたが、厳密には全部は読んでいない。原作は300万部も売れたのだそうだ。おそろしい。日本のイカレぶりはただご…

格闘する者に○

三浦しをん『格闘する者に○』、新潮文庫、2005 単行本は2000年刊行。著者の処女作。最初の作品としてはそこそこよく書けている。主人公と周りの学生たちの造形はいい。それから巻頭に出てくるおとぎ話もいいし、小説の中でうまく使っている。就職活動の描写…

すばらしき愚民社会

小谷野敦『すばらしき愚民社会』、新潮文庫、2006 2004年に出た単行本を文庫化したもの。あいかわらず小谷野節は快調で、知識人の比較対象が西洋近代国家だけで、日本の近代以前、特に近世史がすっぱり抜け落ちているとか、格差社会論に対する批判とか、いろ…

夜は短し歩けよ乙女

森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』、角川書店、2006 たまたま図書館で見つけて借りてきた。著者の名も内容もまったく知らないで手に取ったが、これは拾い物。おもしろい。それにうまい。先斗町の南から、満艦飾の三階建て電車がやってきたら、それは驚く。も…

右翼と左翼

浅羽通明『右翼と左翼』、幻冬舎新書、2006 専門家ではない教養人としての道を歩むことを自ら任ずる著者が、右翼と左翼とは何かという問題を歴史的起源から、現代日本におけるその位置づけにいたるまで解説した本。著者が巻末でいうように、イデオロギーに関…

グーグル八分とは何か

吉本敏洋『グーグル八分とは何か』、九天社、2007 著者はサイト「悪徳商法マニアックス」の管理者。自分のサイトがグーグル八分の対象である。いままでグーグル八分という言葉、いくつかのサイトがその対象となっていることは知っていたが、どういう理由でど…

ユメ十夜

「ユメ十夜」、小泉今日子、中村梅之助ほか主演、実相寺昭雄、市川崑ほか監督、「ユメ十夜」製作委員会、2007 夏目漱石の短編集を11人の監督で10本それぞれ映画化したアンソロジー。原作はどうせ訳がわからないので、読んでいなくても別にかまわない。内容は…

蟲師

「蟲師」、オダギリジョー、江角マキコ主演、大友克洋監督、小椋事務所、2007 大友克洋が監督、それで実写、しかも原作は大友じゃない別の作家のコミック、ということでちょっとこれは見て見ないと、と思って行ってきた。漆原友紀の原作は未読。 はっきりい…