ラースと、その彼女

ラースと、その彼女」、ライアン・ゴズリング、ポール・シュナイダー、エミリー・モーティマーほか出演、クレイグ・ギレスピー監督、アメリカ、2007

若干ヒッキー気味の主人公が、ダッチワイフを買ってきて「僕の彼女のビアンカです」と言いだし、周囲は唖然、困惑・・・という話。このダッチワイフ、いわゆる「ラブドール」という高級タイプなのだが、半開きの口(まあ実用品ですから)がなんともまぬけ。見た目もそれなりにキレイな日本製とはちょっと違うダサさがこの話には合っている。話の印象だと、主人公はこの「ビアンカ」と実用的な関係はもっていないらしく、ある意味子供が愛玩する人形扱いのような感じ。確かに、実用的な関係の話が出てきたら、生々しすぎるし。

あくまでこのお話はファンタジーで、リアルさはない。主人公の兄夫婦が、「ビアンカ」を実際にいることにして扱ってあげるのはともかく、町の人が(最初は気持ち悪がっているが)、「ビアンカ」が「病気」と聞いて、花束をいっぱい持ってきたり、「ビアンカ」を救急車で運んで集中治療室に入れたりする。見ている内にだんだん腹が立ってきて、「なめとんのか・・・」という気になってくる。端的に言えば、主人公はちょっとキチガイ入っているのだが、そこをキチガイ扱いせずに、みんなで優しく扱ってあげるハートウォーミングな・・・って、そんな話が世の中にあるわけないだろ。

最後の方では、主人公は、「ビアンカ」を自分で湖に沈めることになり、そこに言い寄ってくる本物の人間のおねえさん(ありえない)が、というナメた展開。そこまでキチガイを甘やかしていいのか?だいたい沈められる「ビアンカ」の立場は?自分としては、このヒッキー兄ちゃん(この俳優はたしかに上手い)より、「ビアンカ」に愛を感じるね。なむあみだぶつ・・・。