弥次喜多道中記

弥次喜多道中記」、加東大介小林桂樹徳川夢声ほか出演、千葉泰樹監督、東宝、1958

弥次喜多ものの1958年東宝版。徳川夢声十返舎一九で、小説の執筆に困り、弥次郎兵衛(加東)、喜多八(小林)に金をやって旅をさせるという話。風呂を踏み抜く、金を盗まれる、食い逃げされる、駿府で金を手に入れて豪遊、といったエピソードは原作のものを使っているが、おはなし全体は、当然かなり翻案されている。

基本は宝田明ふんする色男が行く先々に現れて、弥次喜多のジャマをするが、実は偽小判事件を探索する幕府の隠密だったというもの。最後は宝田明の捕り物に弥次喜多が手を貸して、ご褒美をたんまりもらうが、豪遊しているところに弥次喜多の女房(乙羽信子淡路恵子、両方とも女中と二役)が現れてあわててごまかしておわり。なので、旅は駿府でおわり。とにかく異常に豪華な配役で、三船敏郎池部良がちょい役で出てきてどじょうすくいをやったり、三木のり平有島一郎柳家金語楼ほかいろんな人が出てきてエピソードをこしらえる。

加東大介小林桂樹が二人主演になっているのが珍しいし、やはり上手な人達なので、安心して見ていられる。歌や踊り、劇中劇など、いろいろ見せ場がつくられていて楽しく観られる。弥次喜多ものの映画の中でも佳作だと思う。