2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

アメリカ外交

村田晃嗣『アメリカ外交』、講談社現代新書、2005 アメリカ外交の歴史と現状について、第二次大戦後の歴史的変化を中心にまとめた本。最初の章でアメリカ外交全体についての著者の認識枠組みがはっきり示されていて、単なる事実の羅列ではない本になっている…

うさたま見聞録

中村うさぎ、倉田真由美『うさたま見聞録』、角川書店、2004 ひとつのお題で中村うさぎが文章を書き、倉田真由美がマンガを描く、「恨シュラン」方式のエッセイ。まあ、おもしろさはふつーかな。いつもに比べると中村うさぎの文章のテンションがやや低めで、…

アメリカの宇宙戦略

明石和康『アメリカの宇宙戦略』、岩波新書、2006 シャトル計画、ポストシャトルのアメリカの宇宙計画、ミサイル防衛の三つのテーマを中心にアメリカの宇宙戦略を描いた本。シャトル以後の有人宇宙船、月探査計画についてあまり読んだことがなかったので、そ…

北朝鮮「虚構の経済」

今村弘子『北朝鮮「虚構の経済」』、集英社新書、2005 北朝鮮の経済事情を比較的新しいデータを使って描写した本。著者の前著『中国から見た北朝鮮経済事情』の続編にあたる。北朝鮮の統計に大きな問題があるので、北朝鮮経済の実情は貿易相手国の統計を使う…

うつうつひでお日記

吾妻ひでお『うつうつひでお日記』、角川書店、2006 吾妻ひでおの「失踪後日記」。帯に「何もしてません 事件なし、波乱なし、仕事なし。読書と坑うつ剤(ママ、帯で誤字はまずいんじゃないの)と貧乏の日々」とあるが、そのまんま。まあふつうはうらやまれ…

中庸、ときどきラディカル

小谷野敦『中庸、ときどきラディカル』、筑摩書房、2002 著者の相変わらずの「論争戦記」。中心になる敵は「アホなフェミニスト」だが、議論はナショナリズム、教育にも広がっている。一番おもしろく読めたのは「文学者の教育改革案」。実際に笑ってられる場…

ある北朝鮮兵士の告白

韓景旭『ある北朝鮮兵士の告白』、新潮新書、2006 著者が脱北したある北朝鮮の元軍人に聞き書きした記録。1983年から97年ごろまでの期間の北朝鮮での軍人生活のもよう(この元軍人は途中で脱営してしまうのだが)が描かれている。 語り手の叙述を読むと、軍…

M:i:III ミッション・インポッシブルIII

「M:i:III ミッション・インポッシブルIII」、トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン主演、J.J.エイブラムズ監督、パラマウント、2006 もともと見るつもりはなかったけど、ひょんな機会で見ることになった。トム・クルーズはあいかわらずかっこい…

永平寺の四季

小倉玄照『永平寺の四季』、誠信書房、1982 著者の永平寺での生活と修行についてのエッセイ。著者が役付になっている人だからかもしれないが、野々村馨『喰う寝る坐る 永平寺修行記』と読み比べると、修行僧に対する訓戒(著者自身に対する自戒も含まれてい…

アメリカの原理主義

河野博子『アメリカの原理主義』、集英社新書、2006 表題は多少正確さを欠いていて、実際には「アメリカの右傾化と宗教」というような題が適切だろうと思う。ただこのタイトルの方が売れそうだから、まあそれはよしとしよう。内容はアメリカ政治における分裂を…

ポピュリズムに蝕まれるフランス

国末憲人『ポピュリズムに蝕まれるフランス』、草思社、2005 フランスの2002年大統領選でのルペンの決選投票進出その他のフランス政治のエピソードを通じて、フランスやその他のヨーロッパ諸国へのポピュリストの進出について述べた本。著者は朝日新聞の記者…

自壊する帝国

佐藤優『自壊する帝国』、新潮社、2006 「外務省のラスプーチン」佐藤優によるソ連解体の記録。著者が外務省に入省した1985年から1991年のクーデタ失敗までの事件が描かれている。テーマとしては宮崎学との対談「国家の崩壊」と同じだが内容は重複していない…

「朝鮮半島」危機の構図

田中良和『「朝鮮半島」危機の構図』、ミネルヴァ書房、2006 著者は現役の朝日の記者でソウル支局長を1985年から89年まで務めた人物。内容は著者が朝日新聞の社内向けの調査レポートで1995年から2004年までに発表したものの中で、韓国、北朝鮮関係のものを採…

ウルトラ・ダラー

手嶋龍一『ウルトラ・ダラー』、新潮社、2006 元NHKワシントン支局長「てっしー」がNHKを辞めて書いた国際諜報サスペンス。ベストセラーなのでまあいずれ文庫本になるに決まっているけど、ブックオフにおいてあったのでついつい買ってしまった。こういうこと…

病としての韓国ナショナリズム

伊東順子『病としての韓国ナショナリズム』、洋泉社新書、2001 90年代、ソウルに10年在住していた著者による在住外国人から見た韓国論。韓国に住む外国人がどのように扱われているかという話題のほか、韓国に渡った在日朝鮮人や中国朝鮮族、在韓華僑の問題、…

世界大戦争

「世界大戦争」、フランキー堺、宝田明、星由里子主演、松林宗恵監督、東宝、1961 昔見た記憶がうっすらとあったが、久しぶりに見た。アメリカとおぼしい「連邦国」とソ連とおぼしい「同盟国」が核戦争をはじめ、東京をはじめとして主要都市は壊滅、世界はお…

北朝鮮に潜入せよ

青木理『北朝鮮に潜入せよ』、講談社現代新書、2006 韓国が北朝鮮に派遣した工作部隊の創設からその末路までについて書かれた本。映画になった「シルミド」事件のことも含まれているが、より広い範囲で韓国の対北朝鮮工作作戦について描かれている。工作員は…

グーグル Google

佐々木俊尚『グーグル Google』、文春新書、2006 グーグルが何をしようとしているか、ネットはどう変わろうとしているか、その社会的影響は何か、といった問題を概観した本。だったらジョン・バッテル『ザ・サーチ』の方を読めということになるかもしれない…

国民国家はどう変わるか

梶田孝道、小倉充夫編『国民国家はどう変わるか』、東京大学出版会、2002 シリーズ「国際社会」の第3巻、表題の通り国民国家の変化の諸相を扱う。論文集なので、内容が玉石混交なのはしかたないか。中では、大庭千恵子「民族の定義と国際関係」がわりとおも…

刑務官

坂本敏夫『刑務官』、新潮文庫、2003 刑務所の内幕ものは近年多く書かれているが、この本が類書と違うところは著者が元刑務官だという点。元受刑者からは、基本的に刑務官対受刑者の関係しかわからないので、刑務官同士の関係がいろいろとわかる本書の存在は…

十字軍の思想

山内進『十字軍の思想』、ちくま新書、2003 十字軍を支えた考え方、エルサレム以外を目指した十字軍についての検討を通じて、西洋世界における十字軍思想の展開を説明した本。十字架標章の携帯、教皇による呼びかけとそれに対する応答、贖宥、特権が十字軍の…

続・忍びの者

「続・忍びの者」、市川雷蔵主演、山本薩夫監督、大映、1963 忍びの者シリーズの二作目。雷蔵がまたまた石川五右衛門に扮して、織田信長を暗殺したりといろいろ大活躍というおはなし。しかし、話が、信長暗殺やその後の雑賀攻めのような歴史的事件に振り回さ…

忍びの者

「忍びの者」、市川雷蔵主演、山本薩夫監督、大映、1962 市川雷蔵の忍者もの8本シリーズの一作目。石川五右衛門(市川)が伊賀の下忍として使いまわしに会う悲哀のおはなし。伊賀忍者の頭目、百地三太夫(伊藤雄之助)がもう一方の頭目、藤林長門守と同一人…

フランスの外交力

山田文比古『フランスの外交力』、集英社新書、2005 フランスの独自外交の淵源を多面的に検討した本。大西洋同盟、ヨーロッパ、アフリカ、文化政策、軍事力といった観点からフランスの独自外交への志向性が検討されている。著者は駐仏公使で、情報はよく整理…

円と人民元

大西義久『円と人民元』、中公新書ラクレ、2003 中国の金融問題を人民元切り上げ問題を軸に論じた本。金融の専門用語が頻出するが、話の骨組みはわかりやすく、金融専門家でなくてもだいたいの内容は理解できる。 最初に中国経済が日本経済に負の影響を与え…

首都消失

「首都消失」、渡瀬恒彦、名取裕子主演、舛田利雄監督、東宝、1987 小松左京原作もの映画シリーズが日本映画専門チャンネルでかかっているので、その二本目ということで見てしまった。突然東京周辺を謎の雲状の物質が覆い、東京と外との連絡が一切取れなくな…

エスパイ

「エスパイ」、藤岡弘、由美かおる、草刈正雄主演、福田純監督、東宝、1974 エスパーとスパイで「エスパイ」。国連のひみつ機関なんだって。小松左京原作のSFアクション映画。まあ特撮部分はあんまりお金がかかってないので、その部分はご愛嬌。しかし主演の…

第二言語習得研究から見た効果的な英語学習法・指導法

村野井仁『第二言語習得研究から見た効果的な英語学習法・指導法』、大修館書店、2006 英語教員向けの英語教育についての本。しかしこの長々しいタイトルはなんとかならないものか。かりにも語学教育のプロなんだから、本の表題はもうちょっとセンスよくして…

現代ドイツ

三島憲一『現代ドイツ』、岩波新書、2006 ドイツ統一後の時期にしぼって、ドイツ国内でのさまざまな社会的問題に関する論争をフォローした本。外国人労働者、統一後の旧東独との関係、湾岸やユーゴスラビアの戦争に対する派兵といったさまざまな問題が取り上…