上機嫌の作法

齋藤孝『上機嫌の作法』、角川oneテーマ21、2005

機嫌をよくする、上機嫌で人に接するというのは、作法であり、テクニックだ、という本。気分にコントロールされているようではダメで、自分で気分をコントロールすべきだと言っている。まあ、人に接するときに、上機嫌でいるにこしたことはない、というのはそうだろう。それがある程度訓練でなんとかなるというのも、そうかもしれない。

だったらドラッグである程度なんとかなるのでは?と思うが、著者によれば「一定の効果はあるが、不機嫌を解消する手だてが他にないと、身近にいる家族にあたったり、弱い立場の者をいじめてみたり、残酷な腹いせをしてみたりと深刻な事態を呼び起こす危険性」があるそうだ。なんで薬物で気分がハイになると、そうなると断定するのか?よくわからない。「また、薬物に頼って気分を高揚させるようになると、これも深刻な問題です」ということである。違法な薬物使用だといろいろ面倒なことが起こるかもしれないが、そうでなければどうなのか?

そもそも著者がいうように、気分を自分でコントロールしよう、という話になると、どこか別の所にストレスがたまっていく、ということにならないのか?人と話すときに自分の不機嫌をあからさまにするのは、何の得もないのでやめましょう、という話まではわかるとして、どうも読んでいてすなおに受け入れられないところがいろいろある本。