パリの恋人

「パリの恋人」、オードリー・ヘップバーンフレッド・アステアほか出演、スタンリー・ドーネン監督、アメリカ、1957

「パリの恋人」で検索すると、いまではこの映画よりも韓ドラのほうが上にひっかかってくる。まあ50年前の映画だから、しかたないのか。この映画のオードリー・ヘップバーンは、また美しさにみがきがかかっている。美人は、地味な格好のときに美しさがひきたつが、本屋の店番をしているオードリー・ヘップバーンはめちゃくちゃかわいい。

ファッション業界話なので、後はしゃれたデザインの服をとっかえひっかえするのだが、いちばんはこの書店員。オードリー・ヘップバーンがまたちょっと背伸びして、インテリにあこがれている街中のおねえさんにぴったりきているのである。「共感主義」なる思想をふりまわして、オードリーを食おうとする教授はいかにもありがちな、スカした知識人のパターン。結局食い損ねて、アステアに持って行かれてしまうのだが・・・。オードリーのほうも、共感主義の話はさっぱり頭から消えてしまったらしく、ウェディングドレスでアステアと踊っておしまい。やはり美人はあまりむずかしいことで悩まないものなのか・・・。オードリーが自分の容姿に悩んでいて、アステアに「きみはファニー・フェイスだよ」となぐさめられるところが、なんとも笑っちゃうところ。

アステアのダンス、オードリーのダンス、それからオードリー自身の声が入っている歌、どんどん出てくるおしゃれな服やスタジオ。そういったものでかわいくできている映画。アステアがイセッタを運転していく場面もいいなあ。50年前でもおしゃれなものの力は、インパクト強くて色あせない。