商店街はなぜ滅びるのか

新雅史『商店街はなぜ滅びるのか』光文社新書、2012


著者は、1973年生まれ、東大人文社会系研究科単位取得退学という人。この本は、商店街の盛衰を描いたようにみえるが、じつはそれはできておらず、「零細小売店の盛衰」というような本。

おもしろいのは、零細小売店そのものはずっと昔からあったはずだが、商店街というような概念(これも、都市だからできているだけだと思うが)は、第二次大戦後、1970年代くらいまでしか続かなかったということ。つまり、高度成長期の徒花。

本来博士論文になるべき内容だと思うが、それには調査が不足しているという気がする。商店街は、ある程度の人口がいて、集中ができていないと成り立たない。大店法とか、そういうものとは別にあったはず。

これはデータ収集ができていないとむずかしいので、この本ではできていない。しかし、それができればきちんとした本になるはず。著者の親は、酒屋で、角打ちをしていたという。これが執筆の主な動機になっている。これを書いたあとがきはおもしろい。