みんなちがって、みんなダメ

中田考『みんなちがって、みんなダメ』KKベストセラーズ、2018


中田考が、イスラムをベースに、人と社会の関係を語りおろした本。非常におもしろい。著者の、『私はなぜイスラム教徒になったのか』の姉妹編のような本。

著者は、人間にはみな価値がない、という。神だけに価値があり、人には価値はない。価値がないものなのに、自分に価値があると思い込むことが間違いの発端。著者は、バカとは、身の程を知らないことだという。自分はミミズなのに、ヘビだと思いこんでいるのがバカ。自分はミミズなので、ミミズであると思っていることが賢い。自分の価値をそのとおりにわかっていなければならない。

すると、自分はどうでもいいのに、何か特別なものであると思いこむことがバカであり、不幸の根源。何も特別なものでもなんでもないのに、「世界でたった一つの花」とかおかしな思い込みをしていることが悪い。人間に特別な価値などなにもなく、あるとすれば、生きていることくらい。なんとか生きているのであれば、その程度の価値はある。それ以上はない。

バカは何も特別なことをする必要はなく、周りの人に合わせて生きていけば良い。バカな人間が自分の頭で考えようとしても、失敗の確率が上がるだけ。賢い誰かのマネだけしていけば、失敗の確率は下がる。行動など、自分で考える必要はなし。

人間は羊のように群れに合わせて生きていけばよく、そうでないことはいらない。あえてやるとすればたいへん。それをわかっていない人が多すぎるということ。