ストーカー

小早川明子『ストーカー 「普通の人」がなぜ豹変するのか』中公新書ラクレ、2017


著者はNPO法人、「ヒューマニティ」の理事長ということで、ストーカー事案のカウンセリングをしている人。しかし、この本の内容は相当きている。

ストーカー事案は、殺人とかそういうことになったものは新聞やテレビに出ているが、大半はそこまではいかずに終わる。しかし、だから大したことはないかというと、そんなことはなく、ストーカー事案の加害者は、被害者に恨み憎しみをもっていて、自分のことを相手にしてくれなければ相手を破滅させようと思っているような人たちだから、ただではすまない。

男女関係が終わったのにあきらめられないというようなこともあれば、ぜんぜん関係ないのに単に妄想で好きになるものとか、とにかく、なんでもストーカーの引き金になってしまう。これはおそろしい。

しかも、いちばんダメージがあるのは、被害者のメンタルヘルス。ストーカーにつきまとわれたら、心は病むでしょう。これはあまりにも悲惨。

ストーカーというのは「関係性の病」だという著者の指摘には納得。これは単に法律だけで解決できるものではなく、医療や著者のような「話を聞いてあげる人」の組み合わせが必要で、その解決は非常にコストがかかり、容易ではない。

著者はNPO法人の関係者だが、これはお金を取らずにできるものなのか?無償でやるにはあまりに時間とコストがかかりすぎ。どうしているのだろうか。