発達障害

岩波明発達障害』文春新書、2017


著者は、昭和大学教授、この発達障害の専門医で、著書も多い人なので内容は確実。

発達障害ASDADHDの二種に大別して、その病態を細かく説明していることは基本で、両者の関連性やほかの症状との関係についても詳しく述べられている。

さらに本書の重要な点は、過去および最近の有名人を例にした発達障害の症例分析。アンデルセンは、作家で創作物が残っているからたぶんそうだろうと思うが、大村益次郎とか、本当にそうかなと思うところもある。近年の事例は、主に重大な犯罪者についての分析。これは非常に参考になった。

この点に関連して、発達障害に対する医師の誤診について述べていて、これは納得。きちんとした手続きを踏まないで診断していることがあり、それが司法の場でも行われている。医師によって若干診断に幅があることはやむを得ないとはいえ、こういう問題での誤診が刑事処分に影響しているとすれば、やはり重大なこと。