医学部

鳥集徹『医学部』文春新書、2018


著者は、医療ジャーナリスト。この分野については実績がある人なので、信用してもよい。

東大医学部の凋落(東大以外の大学からも、医学部教授になれるようになった)という話からはじまって、医局弱体化、医学部ヒエラルキーの崩壊、医学部の実態、医学部受験ブーム、医者への向き不向き、といった医者業界と医学部の基本的な論点を網羅している。

医学部の定員抑制についての、日本医師会、日本医学会、全国医学部長病院長連絡会議の連名声明も出ており、医者が競争相手を増やしたくないために、定員抑制を強硬に押していることも書いてある。

驚いたのは、私立の下位医学部でのドロップアウトの多さ。3分の1くらいは医者になれない学生がいる。不正受験をしても、最後はどうにもならないのだが。

医者は仕事がたいへんで、それが一生続く。社会的に見ても、医者に優秀な人材が集まりすぎるのはムダ。なんとかならないのかと思うが・・・。