恋とセックスで幸せになる秘密

二村ヒトシ『恋とセックスで幸せになる秘密』イースト・プレス、2011


いちおう女に対して著者が助言するというスタイルにはなっているが、男女両方の分析になっているので、趣旨は一貫している。著者の言いたいことをきちんとまとめた本。

まず著者が言っているのは、「相手を操って、自分を好きにさせる」というよくあるパターンの考え方こそ、自分の不満の元をつくっているということ。自分が変わらずに相手を操ろうとするのは、自分がめんどうなことをしたくないから。

では、相手を操って何をさせようとしているかといえば、「自分の心の穴を埋める」こと。自分の欠けたところを他人の力で埋めてもらおうとしている。しかし実際には、「自分の心の穴」は、他人を使って埋められるようなものではない。それは自分の心のパターンなので、他人が何をしても、あいているもの。

基本的には、「自分の心の穴」は、成長期の親子関係で決まっている。親子関係がよい、悪い、普通のどれであっても、穴はあいている。空き方に違いはあるが、子供の時にできた心のパターンは自分では気づいていないことが多いし、他人にはもちろん、自分にも簡単には変えられないもの。

結論は、自分を肯定し、自分の欠損を埋めるために相手を利用することをやめて、自分が他人にすることは自分の喜びから来るようにせよということ。ちゃんと大人になりましょうというおはなし。

著者の言っていることは、昔から言われていることではあるが、これを言ってる自己啓発本(?)が多いように思えるのは、自分の気のせいか?それとも、これを求めている人=自分で自分を埋められない人が増えているということ?どっちなのかはよくわからない。このレベルで言われていることは、時代の変化でそうそう変わることはないような気もするが、人間の成長が遅れているという説にも一理あるように思えるので、よくわからない。