#その他人文科学

ミシマの警告

適菜収『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』講談社+α新書、2015 三島由紀夫をネタにして、保守主義を後押しする本。思っていたよりおもしろかった。 三島由紀夫が保守だったという理由は、三島が反近代だから。保守とは反近代のこと。だから三島は幻想…

イスラーム入門

中田考『イスラーム入門 文明の共存を考えるための99の扉』集英社新書、2017 この4月に出た中田考の本。99項目のイスラム用語集という体裁だが、法の宗教、イスラームの下の暮らし、イスラーム人物伝、イスラームと現代の4つの章に分けて、事項を並べている。…

回思九十年

白川静『回思九十年』平凡社、2000 白川静が日経の「私の履歴書」に書いたものと、いろんな雑誌で対談した記事を集めたもの。「私の履歴書」は、連載当時に読んだ記憶があるが、これは1999年のことなので、もう18年前。 日経は新聞だから、これだけは甲骨文…

ちづかマップ 3

衿沢世衣子『ちづかマップ』3、小学館、2015 これが『ちづかマップ』の最新刊。ていうか、このマンガ、ほぼ季刊ペースだ。内容はかなり取材していないと描けないし、和歌山の取材は何日もかかるようなものなので、月刊でもたいへんだろう。このくらいゆっく…

オウム真理教の精神史

大田俊寛『オウム真理教の精神史 ロマン主義・全体主義・原理主義』春秋社、2011 評判のいい本だったので、読んでみた。かなりおもしろい。 著者は宗教学者で、異端のグノーシス派を研究している人。なので、キリスト教やその周辺に散在しているオカルトには…

コレモ日本語アルカ?

金水敏『コレモ日本語アルカ? 異人のことばが生まれるとき』、岩波書店、2014 岩波から出ている「そうだったんだ!日本語」シリーズの1冊。3ヶ月前くらいに出た本。非常におもしろい。 お笑いやマンガに出てくる中国人が使っている変な日本語「なんとかアル…

一神教と国家

内田樹、中田考『一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教』、光文社新書、2014 イスラム学者とレヴィナス研究者が対談しているので、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の一神教の系譜と、イスラム教(著者は当然「イスラーム」としか書かないが)の…

学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方

サンキュータツオ『学校では教えてくれない!国語辞典の遊び方』、KADOKAWA、2013 国語辞典を読み倒した本。非常におもしろい。著者は「学者芸人」のサンキュータツオ。大学院での専門は日本語学でだから、この本はホームグラウンドでの本。 この本が説いて…

SとM

鹿島茂『SとM』幻冬舎新書、2008 サディズムとマゾヒズムを文化史的に考察した本。非常におもしろい。 まず著者は、「SMというのは、虐待や支配とは違うよ」というところから話を始める。これが非常に重要なポイント。著者によれば、SMの本質は「エロティッ…

図書館で調べる

高田高史『図書館で調べる』ちくまプリマー新書、2011 著者は、神奈川県立川崎図書館の職員。図書館利用のノウハウ本。 いろいろおもしろいところがあったが、自分としては「検索の世界」の項目が特に興味深く読めた。コンピュータ検索のいろんなティップス…

国立国会図書館本

クム(本山賢)「国立国会図書館本~サブカルからみる納本制度~」、くむ組む vol.1、2011 同人誌作家の立場から、国立国会図書館の納本制度考える本。基本的な前提として、国立国会図書館への納本は、「頒布を目的として相当部数作成された」出版物が対象とな…

日本仏教の可能性

末木文美士『日本仏教の可能性 現代思想としての冒険』、新潮文庫、2011 著者の大谷大学、相国寺、東京大学での講演に加筆したもの。単行本の発行は2006年。 もとが、仏教関係者に対する講演ということもあって、日本仏教に対していろいろ手厳しいことを言っ…

偽善入門

小池龍之介『偽善入門 浮世をサバイバルする善悪マニュアル』、サンガ、2008 著者の前著『「自分」から自由になる沈黙入門』は、いまひとつ自分に合わないように感じたのだが、それでも気になる本だったので、次にこれを借りてきて読むことにした。こちらの…