ちづかマップ

衿沢世衣子『ちづかマップ』講談社、2016


これは小学館から3巻本で出ているものなので、なんで同じタイトルで巻数が入っていないものが出ているのか、よくわからなかった。もとは違う雑誌で違うタイトル(「尋ネ人探偵」)で連載されていたものが、登場人物は同じだが、方向性をちょっと変えて小学館の雑誌で出ているのが3巻本。こっちはその前の版なので、キャラは同じでも、かなり違う作品。

小学館版は、古地図を頼りに町の昔の姿を探索する話だった。こっちもそれは基本的に同じ。こっちは人探しがちづかのミッションになっていて、町はその背景だという程度の違い。しかし小学館版は完全に古地図に話が貼り付いていたので、そうでないこちらはずいぶん違う。書道博物館とか、京都の御朱印集めとか、地図は手がかりで、それをきっかけに何かを見つけていくというような感じ。

雑誌連載は2007年から2009年までだったので、建設途中の東京スカイツリーにまだ名前がついていないとか、寂光院の本堂が2000年に放火で焼けちゃったとか(知らなかった)、まだ10年くらいの時間でも、町はちょっとずつ変わっている。小学館版のほうは、回るところなんて、いくらでもあるからいつまでも連載は続けられるものと思っていた。町歩き本は、どんどん出るようになっているので、たいへんだと思うが、これはおもしろかったので長く続いてくれればよかった。まあ、この版も電子版だから再刊されたので、読めただけでもありがたい。