天理参考館

「天理参考館」、2017.9.25


この博物館は、今の特別展はいいとして、常設展が非常によい。「世界の生活文化」、「世界の考古美術」の2部に分けて展示されている。

考古学は専門家ではないとわからないし、民俗学も、きちんとした知識がないとわからないもの。なので、なんとなく見ていたのでは大したことはわからないが、展示物そのものがきれい。元の物がいいし、展示状態も非常にいい。

加えて、ここの出版物で、「天理参考館のツボ!―学芸員が明かす早わかり鑑賞ガイド」というものが置いてあり、これが非常によくできていて、おもしろい。考古学や民俗学の知識がなくても、簡単に読める。朝鮮、台湾、中国が中心だが、それに限られず、東南アジアやメキシコ、グラテマラ、パプア・ニューギニアなんかのいろいろな物がある。

1番おもしろかったのは、天理教の外国布教の資料。この博物館と、天理大学(前身は外国語学校)は、もともと天理教の海外布教のために外国語を学ぶ必要があることから、できている。ということで、日本人移民の移住先(南北アメリカ)の資料がある。特に日米開戦時のアメリカの日本人コミュニティの新聞や、開戦後に天理教の布教使が逮捕された(日本人の宗教者は全部収容所行き)ことの資料が非常におもしろい。

韓国や台湾の資料が多いのは、植民地にも布教活動がされていたから。高麗時代の演劇の面(これももはや他に存在していないもの)は保存状態がいいだけでなく、見ていておもしろい。

ちゃんと説明資料を読めば、よりおもしろく見られるはず。天理には初めて行ったが、ここはおもしろいところ。奈良から20分くらいで行けるので、また機会を作って行かなければいけない。