巌窟王

デュマ(打木村治訳、小松崎茂画)『少年少女世界の文学 巌窟王小学館、2017


1978年に出た、「少年少女世界の文学」30巻のひとつ。200作品を30巻で出したというのだが、これは圧縮しすぎでは。

この「巌窟王」は小松崎茂が挿絵を描いていて、それはまあいいが、あまりに分量が短すぎ。省略しすぎ。自分が子供時代に読んだ講談社の子供向け抄訳と比べても、いくらなんでも略しすぎる。特に、復讐が始まる後半部分が激しくカットされていて、モルセール伯を追及する場面は、3ページくらいで終わり。ストーリーのあらすじがわかるだけ。これは子供相手といっても、読んでおもしろいとは思えない。

小松崎茂の絵は、いかにも昔っぽくて、いいが、肝心なストーリーがこれではどうにもならない。大人はおとなしく全訳を読みましょうという話。ちょっと昔読んだところを思い出せたのはよかった。