ふたつで一つ

「ふたつで一つ」、京都市美術館

ここの美術館の所蔵品のテーマ展示の3期目。「対になっている表現」がテーマ。対ということになると、掛け軸の双幅、屏風の一双といったものが思いつくが、まずそれらが並べられている。

屏風ももともとは一扇ごとに独立した絵になっていて、今のように、一隻全体でひとつの画面を構成し、さらに二隻を一双として統一的な作品に構成するようになったのは、室町中期以後だということだ。勉強になりますね。

ぜんぜん知らなかった絵描きの作品におもしろいものがたくさんあった。北野恒富の「いとさんこいさん」は一双の屏風なのだが、どっちがいとさんでどっちがこいさんか?と考えながら眺めていると楽しい。明治から昭和にかけて生きていた人。このころは、大阪のきちんとした家ではふつうにこういう言葉を使っていたわけですね。

山本芳翠「木戸孝允像」「木戸松子像」は、木戸孝允は見慣れた肖像に近いのだが、松子のほうは思っていたよりずっとブサイクだったのでびっくり。名妓といわれた人なのですごい美人を想像していたが、名妓たるゆえんは容貌ではないところにあるらしい。

昔の絵は思わぬ所に見所があって楽しい。ここの「うつわ考」もおもしろかったが、見せ方が上手な美術館だと思う。