第55回日本伝統工芸展

「第55回日本伝統工芸展」、広島県立美術館

毎年この時期に来る日本伝統工芸展。今日は、もと文化庁でこの展覧会に関わっていた人の講演会もあったので、いそいそといってきた。しかし講演会の講師の話がたいくつ。100分くらい話した後で、「まだ時間ありますね。じゃあこれからスライドを」と、第1回の日本伝統工芸展の作品のスライドを映しはじめた。そんなの最初にやってくださいよ。さすがに全部聞いていると時間がないので、途中で出てきた。

展覧会そのものは、いつものとおりハズレがない。というかヘタな作品は出ない展覧会なので、みな上手なものしか出てこない。まあこれは官展みたいなものだから。しかも地方を巡回する展覧会では、入選作のうち相当数が削られているのだ。

入賞作の中では、佐々木正博「蒟醤草華文箱」(東京都知事賞)と、佐野曜子、宙吹き硝子器「白襲ね」(NHK会長賞)が特に好き。前のは、黒と赤のグラデーションになった蒟醤の箱だが、よく近づいてみると、模様の細かさがすごい。めまいがしそうな細工物。後者は、いろんな色のガラスを溶接して細かい模様を彫り込んであるガラス鉢。ガラスの涼しげな感じの中に模様が風か波のように揺れている感じ。

今回の展覧会では「鑑賞ノート」という小学生向きの小さい解説パンフを配っていた。知らないわたしにはこれでもずいぶん役に立つ。これは安いので(前売り券はたった500円)、時間があればまた来たいのだが・・・。