#軍事

無人暗殺機ドローンの誕生

リチャード・ウィッテル(赤根洋子訳)『無人暗殺機ドローンの誕生』、文藝春秋、2015 これは名著。新聞の書評でも2紙くらいとりあげていたが、技術革新の物語であり、組織変革の物語であり、戦争の方法の革新についての物語であり、なにより人間ドラマにな…

イラストでまなぶ!ロシア連邦軍

小泉悠、JSF、高町紫亜ほか『イラストでまなぶ!ロシア連邦軍』、ホビージャパン、2015 萌えイラストのはいった「イラストでまなぶ!」シリーズの本だが、これはよく書けている。2015年時点でのロシア連邦軍についての、最も包括的で詳しく書かれた本。 ロシ…

出動せず

瀧野隆浩『出動せず 自衛隊60年の苦悩と集団的自衛権』、ポプラ社、2014 これはけっこうおもしろかった。自衛隊の「中の人の事情」を、インタビューで追いかけたもの。当然、現在進行形のことは簡単には聞けない(インタビューの対象は、基本的には自衛官を…

防衛省と外務省

福山隆『防衛省と外務省 歪んだ2つのインテリジェンス組織』、幻冬舎新書、2013 これはまるっきり看板倒れの本。防衛省と外務省のインテリジェンス機関としての欠陥を指摘している本かと思ったら、そうではないのだ。 著者は、防衛省から出向で、外務省北米…

イラストでまなぶ!世界の特殊部隊 アメリカ編

『イラストでまなぶ!世界の特殊部隊 アメリカ編』、ホビージャパン、2014 最近よくある、「萌え絵つきミリタリー本」。テキスト部分の著者は、飯柴智亮と友清仁。飯柴は、この本の紹介では、1973年生まれ、ROTCを経て1999年米陸軍入隊、アフガニスタンの作…

NHKスペシャル 60年目の自衛隊

「NHKスペシャル」、「60年目の自衛隊~現場からの報告~」 NHKスペシャルの自衛隊特集。 取材しているのは、まず、陸の幹部候補生学校。起床後、上半身裸で点呼と体操。インタビューでは、当然ながら模範解答。防大卒、一般大卒、転職組、女性はバランスよ…

孫子とクラウゼヴィッツ

マイケル・I・ハンデル(杉之尾宜生、西田陽一訳)『孫子とクラウゼヴィッツ』、日本経済新聞出版社、2012 アメリカの陸軍大学校相当の学校で使われている教科書。『孫子』と『戦争論』は、戦争へのアプローチにおいて、まったく対立しているように考えられ…

兵士は起つ

杉山隆男『兵士は起つ』、新潮社、2013 東日本大震災での自衛隊の活動を取材した、杉山隆男の自衛隊もの第4作。 震災時に、誰がどこでどうしていたのか、それぞれの自衛官は、何をしたのかということがよくわかる構成になっている。遺体収容の辛さもよく伝わ…

防衛疑獄

秋山直紀『防衛疑獄』、講談社、2008 著者は守屋武昌元次官と日本ミライズ関係の疑獄事件にからんで、「防衛利権のフィクサー」で名前が売れ、2008年7月に脱税容疑で逮捕された人。「日米平和・文化交流協会」元専務理事。この本は、逮捕直前に書かれたもの…

気象が勝敗を決めた

熊谷直『気象が勝敗を決めた 近現代戦に見る自然現象と戦争』光人社、2002 太平洋戦争(主に日本側、アメリカ側の状況についても少し)を中心に気象と戦争の関係について書かれた本。著者は、昭和11年生まれ、航空自衛隊で高射部隊に勤務し、平成3年術科学校…

東京大学戦史研究会会報第56号

東京大学戦史研究会『東京大学戦史研究会会報』第56号、2013 これも薄い本だが、168ページと、けっこうなボリューム。戦史研究会を名乗っている軍事、歴史系サークルは、ここと早稲田ほか非常に少ないのだが、コミケに本を出しているのはここだけのようだ。 …

兵士に告ぐ

杉山隆男『兵士に告ぐ』小学館、2007 杉山隆男の自衛隊もの第4巻。これは「陸」のおはなし。 多くのページが、新編の「西部方面普通科連隊」にあてられている。この部隊が、陸上自衛隊の中でどれだけ特別なのかということがよくわかる。しかし、その精鋭部隊…

「普天間」交渉秘録

守屋武昌『「普天間」交渉秘録』新潮社、2010 これは文句なく面白く、ためになる本。著者は、この本が出版された時点では最高裁に上告中(後に上告取り下げ)、服役の後、今年の7月に仮出所という立場。 防衛庁官房長に就任してから、秘書がつけたスケジュー…

兵士を追え

杉山隆男『兵士を追え』、小学館、2005 杉山隆男の自衛隊ノンフィクション第3巻。これは海上自衛隊である。 潜水艦と哨戒機の2つに焦点をあてていて、500ページ全部が2つの乗組員に集中している。 一番おもしろいのは、潜水艦乗員の生活。潜水艦乗員の服に染…

兵士を見よ

杉山隆男『兵士を見よ』、新潮社、1998 杉山隆男の自衛隊ルポ第2作。これは航空自衛隊、特に飛行機関係に特化した本。 著者自身がF-15に体験搭乗しているのだが、これが大変。戦闘機乗りというのはこれほど大変なものなのかということを思い知らされる。めま…

兵士に聞け

杉山隆男『兵士に聞け』、新潮社、1995 杉山隆男の一連の自衛隊ルポルタージュの最初の巻。評判通り、非常によく書けている本。 自らを「日陰者」と呼ぶ自衛隊(この本が書かれた、1990年代半ばの防大卒業式での校長あいさつでも、まだそういうことを言って…

ロッキード・マーティン 巨大軍需企業の内幕

ウィリアム・D・ハートゥング(玉置悟訳)『ロッキード・マーティン 巨大軍需企業の内幕』、草思社、2012 ロッキード・マーティン社の黒歴史についての内幕本。原題は、"Prophets of War: Lockheed Martin and the Making of the Military-Industrial Comple…

2013 呉地方隊 広島湾展示訓練

「2013 海上自衛隊呉地方隊 広島湾展示訓練」、2013.8.24 このタイトルでエントリを無理やり書いてしまうが、実はこのイベント、中止されてしまった。呉地方隊の広島湾での展示訓練はひさしぶり(5年ぶり?)だったので、楽しみにしていたのに。というか、呉…

自衛隊と戦争

芦川淳『自衛隊と戦争 変わる日本の防衛組織』宝島社新書、2013 著者は1967年、軍事ライター。過去『セキュリタリアン』誌の専属ライターだった経歴がある人なので、自衛隊の半ばお抱えのような立場。 内容は、予算や武器開発、部隊(戦闘、後方職種)、自衛…

ある防衛大学校生の青春

木本寛明『ある防衛大学校生の青春 治安出動はついに訪れず』光人社NF文庫、2012 著者は1945年生まれ。防衛大学校12期(1968年)卒、機甲科で戦車連隊長、主任研究開発官等を務めて一佐で退職という経歴の人。この本は小説の形で1960年代後半の防衛大学校や…

これが潜水艦だ

中村秀樹『これが潜水艦だ 海上自衛隊の最強兵器の本質と現実』光人社NF文庫、2008 著者の3冊目の本。海上自衛隊の潜水艦に焦点をあてて、現代の潜水艦と潜水艦戦について書いてある。 現代の潜水艦が実質的に海を支配する存在であることがよくわかる。原子…

本当の潜水艦の戦い方

中村秀樹『本当の潜水艦の戦い方』光人社NF文庫、2006 太平洋戦争での潜水艦戦を回顧、評価する本だが、海上自衛隊の潜水艦作戦についても一部触れられている。著者は、1950年生まれ、防衛大学校18期、護衛艦隊幕僚、潜水艦館長、幹部学校教官を経て、防衛研…

防衛維新

久間章生『防衛維新 新たな安全保障戦略の確立に向けて』朝雲新聞社、2009 すでに引退した久間章生の著書。2009年7月刊行だから、この年の8月の総選挙(久間は落選、当選したのは民主党の福田衣里子)に向けての運動の一環として出版されたものだろう。 読ん…

日本の軍隊マニュアル

三根生久大、袖留木廣文『日本の軍隊マニュアル』光人社、2002 帝国陸軍と陸上自衛隊を対比させた本。三根生が旧陸軍の部分を、袖留木が陸上自衛隊の部分を書いている。副題は、「帝国陸軍と陸上自衛隊『戦闘力』の比較検証!」となっているが、内容はこの副…

第5世代戦闘機 F-35の凄さに迫る!

青木謙知『第5世代戦闘機 F-35の凄さに迫る!』サイエンス・アイ新書、2011 F-35戦闘機の解説本。F-35の特徴、開発計画の歩み、テクニカル・ガイダンス(センサー、コクピット周り、機体、エンジン)、兵装、オペレーター(運用国、軍)、F-35のライバル機に…

日本の空を誰が守るのか

佐藤守『日本の空を誰が守るのか』双葉新書、2011 この本にはいろんな意味で驚いた。著者は、1939年生まれ、元空将、南西航空混成団司令で平成9年=1997年に退役。現在は岡崎研究所理事ほかという経歴の人。 最初の方に、日本が直面している最も重要な脅威は…

狡猾の人

森功『狡猾の人 防衛省を喰い物にした小物高級官僚の大罪』幻冬舎、2011 防衛事務次官を4年以上つとめて「天皇」と呼ばれ、その後収賄、偽証で逮捕され、懲役2年6月の実刑判決を受けた守屋武昌についてのノンフィクション。 本の最初に出版の経緯が書いてあ…

防衛庁再生宣言

太田述正『防衛庁再生宣言』日本評論社、2001 著者は1971年防衛庁入庁、官房審議官、仙台防衛施設局長を努めて、2001年に「自主的に」退官(役所からの就職援助を受けない、自主退官)という経歴の人物。 従ってこの本は、防衛庁の内情を告発するもの。入庁…

報復兵器V2

野木恵一『報復兵器V2』朝日ソノラマ、1983 これは古書の即売展で見つけたのだが、価値のある拾い物。朝日ソノラマの「航空戦史シリーズ」の1巻。このシリーズは『海上護衛戦』くらいしか読んだことがなかったのだが、良書をたくさん出していたのだ。朝日ソ…

「第5の戦場」サイバー戦の脅威

伊東寛『「第5の戦場」サイバー戦の脅威』祥伝社新書、2012 著者は、もと陸上自衛隊システム防護隊の初代隊長、現在はサイバーセキュリティ関係の会社勤務という経歴の人。 これまでの大規模なサイバー攻撃の事例が簡単にまとめてあるので、それについてざっ…