ミサイルの科学

かのよしのり『ミサイルの科学 現代戦に不可欠な誘導弾の秘密に迫る』サイエンス・アイ新書、2016


かのよしのりの新著。こっちはミサイル編。

弾道ミサイルから対戦車ミサイルまで、あらゆる種類のミサイルを扱っている。分類、誘導方式、推進方式、弾頭の種類、戦術ミサイルをかわす方法、弾道ミサイル防衛、核弾頭、核爆発の被害局限、主要なミサイルの要目について、章が立てられている。

この分野は類書が多かったので、あまり新味はない。あらゆる種類のミサイルと核弾頭を全部扱っているので、細かい話が薄いのも物足りない。しかし、このシリーズは、「武器のことは知らない人に、武器の基本的な性質を解説する」のが趣旨なので、そういうもの。

いちばん参考になったのは、弾道ミサイル防衛の部分。弾道ミサイルの射程距離によって、どのくらいの高度を飛んでいて、どのシステムがどこを迎撃するかが整理されている。あとは、それぞれの章に分散されている細かい記述。他人が書いた本をまとめ直しただけではないことがわかる。いちおうのことは知っていても、知識の再整理には役に立つ。なんといっても、読みやすい。