狙撃の科学

かのよしのり『狙撃の科学 標的を正確に撃ち抜く技術に迫る』サイエンス・アイ新書、2013


狙撃手(ライフル競技選手、ハンター含む)の技術についての本。著者は、実際にこれを実践している人なので、細かい手順が書かれている。とてもおもしろい。

銃の選択、銃身と機関部、照準器、照準器の取り付けと零点修正、射撃術、ハンドローディング、銃の手入れ、野外行動、実包の種類について章が立てられている。ハンドローディング(自分で実包を作ること)など、全然知らなかった。選手やプロの狙撃手はこのくらいやっているということ。

標的射撃の記録は2.4キロ先の標的に当てているので、そこまではできる。2キロ先の標的って、ゴルゴ13の世界だと思っていたが、実際にできる人がいるということ。普通に訓練された、狙撃手ではない射手でも300メートル先の標的には当てられるが、2キロとか別世界の話。1キロでも、限界レベル。

このくらいだと風、温度などが影響するし、距離計測は当然、弾道計算も必要。今は弾道計算をしてくれるiPhoneアプリがあるので、個人でもこれはできるのだ。ハンドローディングも必要な技術。

この世界はほとんど職人の世界。著者は、心の動きが実際に弾着になって現れる分、座禅よりも精神修養に役立つと言っているが、そういう世界。経験と訓練、調整の繰り返しで精度をあげていく。ちょっとのぞけただけでもおもしろい。