北朝鮮がアメリカと戦争する日
香田洋二『北朝鮮がアメリカと戦争する日 最大級の国難が日本を襲う』幻冬舎新書、2017
著者は、「アメリカの奇襲攻撃はアリ」だと断言する。先制で、北朝鮮のミサイル基地、飛行場、砲兵陣地を全部潰すというもの。もちろん、金正恩本人や通信施設に対する攻撃が含まれる。核兵器による反撃があり得るので、この先制攻撃には核攻撃が含まれる。
「相手がどう出るかは関係なく、自分に都合のいいタイミングで攻撃する」。これは本質的に重要なこと。このことを改めてはっきりさせたことで、この本は価値がある。戦争のタイミングを決めるのは北朝鮮ではなく、アメリカの都合。
アメリカによる攻撃のタイミングだが、著者は平昌オリンピック中はやりにくいので、その前かその後と言っている。後のほうでいえば、米本土に到達する核ミサイルの完成は2018年8月までにできる可能性があるので、攻撃はその前になされる。
著者は、航空攻撃(巡航ミサイルや、ICBMによる核攻撃を含む)だけで北朝鮮を片付けられるし、韓国の人員退避はそれ自体が北朝鮮に準備のタイミングを与えるので、それはしないで片付けると言っているが、そこはどうなのか。ミサイル基地や通信施設の攻撃は100%確実なのか。また地下の貯蔵庫に隠蔽された核弾頭を始末するためには、地上侵攻は不可欠になるのではないのか。地上侵攻の準備が整っていない状態で、航空攻撃だけ先行させることは現実的なのか。そこは疑問に思う。
それでも米によるミニットマンの発射実験(通常の実験より頻度が高く、公表している)など、貴重な事実が多数ある。この本の最終稿は、11月の火星15発射実験の後なので、その事実も踏まえて書かれている。現時点で最も情報豊富な本のひとつ。