軍用ドローン年鑑

井上孝司、竹内修『軍用ドローン年鑑』イカロス出版、2016


年鑑というからには、刊行年がついてないと、と思うが、それはない。しかし書籍ではなく、雑誌扱い。日進月歩の分野なので、こういう扱いの方がいいのだろう。

120ページなのに、2500円するのだが、内容は納得。1ページあたりだいたい2機の割合で、現用(一部は退役)の軍用無人機を、全部写真入り、わかる範囲での要目をつけて解説している。

高高度、中高度長時間滞空型、戦術用、小型、自爆突入型、戦闘用、技術実証機、回転翼、その他、に分けていて、無人機がどのような用途で使われるものなのかがだいたいわかるようになっている。

見ていてわかることは、奇抜な形のものもあるが、長時間滞空ということを前提にすると、飛行機の形はある程度似てくるということ。長い機体に長い翼。無人機を敵の脅威が薄いところで使おうとすると、これが一番効率のいい形。

もうひとつは、日本が無人機開発にまったく立ち遅れていること。途中で放棄された計画も含めて、非常に数が少なく、うまくいっているものはほとんどない。アメリカから買うことになっているRQ-4グローバルホークも、用途や運用にいろいろと制約がついていると聞くし、日本の失敗は目を覆うレベル。

コラムでは、価格(ユニットコストとシステム全体の両方)や運用、過去のドローン計画などにも触れられていて、読みがいがある本。