賛成反対を言う前の集団的自衛権入門

香田洋二『賛成反対を結前の集団的自衛権入門』幻冬舎新書、2014


自衛艦隊司令官の著者になる、集団的自衛権の解説本。ちょうど集団的自衛権についての閣議決定の後で出だ。内容は、昔の自衛隊の話に始まって、法律の問題点や集団的自衛権がないと解釈されていたために、自衛隊の活動にどのような不都合が起こっていたかを丁寧に説明している本。

集団的自衛権に反対する立場に対しても、一問一答形式で、真面目に反論している。とは言え憲法論議の箇所については、あまり強い反論はできていないが、それは著者の仕事上しょうがないかもしれない。

日米同盟や、中国北朝鮮との関係、現場に行って感じた法整備の問題など、現場にいた人の報告としては、1番よくまとまっている方だと思う。やはり学者の議論とは別に、現場に近いところで直接問題を見ていた人の意見はそれなりに説得力はある。

とは言え、この議論が集団的自衛権反対版に届くかと言うと、まぁおそらく全く届かないだろう。そういう意味ではタイトルがミスリーディングな気がする。