戦車の戦う技術

木元寛明『戦車の戦う技術 マッハ5の徹甲弾が飛び交う戦場で生き残る』サイエンス・アイ新書、2016


著者は元陸上自衛隊第71戦車連隊長、幹部学校主任研究開発官、陸将補で退役という経歴の人。ほかにもいろいろと著書がある。『本当の戦車の戦い方』は読んだが・・・。

この著者の本はあまり情報量が多くないのが問題。このタイトルなら、戦車の戦術はどういうものなのか、ある程度わかるように書いてもらわないと。自衛隊の教範を書かなくても、この本では米軍の古い教範を引用しているのだから、ある程度は書けるはず。

戦車を実際に出すときには、どういう編成で出るのか、歩兵や砲兵、ヘリコプター、飛行機との協働はどうするのか、補給はどのような頻度で、どの程度の場所にデポを設定するのかなど、指揮官でないとわからないことを書いてほしいのに、過去の戦車の説明や、個別の技術の説明が多く、「戦う技術」についての記述は分散していて、まとめて書かれていない。

今の自衛隊の戦車は飛行機に載せられないので、船で運ぶことはわかっている。現にアメリカに訓練のために運んでいる。その時、どんな船を使うのか、一度に何両を送っているのか、書いてくれればいいのに。

図版が多いのはありがたいが、まとめ方に難がある。知識のある人が書いているのに、もったいない。