重火器の科学

かのよしのり『重火器の科学 戦場を制する火砲の秘密に迫る』サイエンス・アイ新書、2014


これは非常に便利でありがたい本。車両と銃はそれなりに本があるのに、大砲は本が少ない。巻末の参考文献リストを見ても、佐山二郎のNF文庫に入っている『大砲入門』、『野砲 山砲』、イアン・フォッグのサンケイ赤本シリーズに入っている『大砲撃戦』、『手榴弾迫撃砲』がめぼしいところで、後はめぼしいものがない。しかもこれらの本は全部第2次世界大戦についてのもので、現代兵器はない。

同じ著者のサイエンス・アイ新書の本で、『銃の科学』、『狙撃の科学』があって、この3冊で、戦車とミサイル以外の陸戦兵器をひととおり網羅する企画になっている。この本は、重火器の種類、弾の構造、火砲の構造、砲兵の運用、地雷と爆薬、歩兵の重火器、火薬と爆薬について章が立っていて、大砲、火薬、爆薬全般のことがざらっとわかる。

著者は元自衛隊の武器補給処の人なので、中の人。これだけカバーした本は、元自衛官でないと書けないだろう。自分がこの分野について何も知らなかったことを再認識させられた。

特に発見が多かったのは、砲兵の運用、地雷と爆薬、火薬と爆薬の章。爆燃と爆轟の違いから火薬、爆薬の種類、性質など、知識があいまいだったことがやっとはっきりした。

このシリーズの常で、文章と図表類が半々になっていて非常にわかりやすい。一度ペラっと読んだだけではちゃんと頭に入らないので、何度も読み直す必要がある本。