#ノンフィクション、エッセイ

本屋さんで待ち合わせ

三浦しをん『本屋さんで待ち合わせ』大和書房、2012 三浦しをんの書評集。読売新聞の書評委員だったし、ほかの新聞やら何やらにもいろいろと書評を書いているので、それを集めたもの。 まあ、当然だが幅広く読んでいる。文芸中心だが、社会のいろいろなとこ…

保守の遺言

西部邁『保守の遺言 JAP.COM衰滅の状況』平凡社新書、2018 先日自殺した西部邁の遺著。この本の原稿書いた時点で、後は4回分のテレビ収録が残されているだけで、その後自殺すると書かれているので、本物の遺書と言うことになる。 個人的に、自殺を自死とか自…

役に立たない読書

林望『役に立たない読書』集英社インターナショナル、2017 林望の読書エッセイ。さすがだわ・・・という言葉しか出てこない。 せこい目的のために読むな、ちゃんと買え、ゆっくり読め、再読の機が熟した時に読め、等々、おっしゃるとおりですねというもの。 …

人はなぜ不倫をするのか

亀山早苗『人はなぜ不倫をするのか』SBクリエイティブ、2016 不倫ものライターの亀山早苗の対談本。対談の相手は、山元大輔、竹内久美子、丸山宗利、上野千鶴子、島田裕己、宋美玄、福島哲夫、池谷裕二。「専門家」といっているが、たしかに学者ではない…

恋愛大好きですが、何か?

中園ミホ『恋愛大好きですが、何か?』光文社、2007 中園ミホの昔の(初の)エッセイ集。内容はほとんど恋愛ネタ、それから自分が占い師をしていたときのネタ。 1959年生まれなので、今年58歳。この本が出たときは10年前なので、写真は当時のもの、47歳か48…

ブスのたしなみ

カレー沢薫『ブスのたしなみ』太田出版、2017 年末に出た『ブスの本懐』の第二弾。『ブスの本懐』は本当に爆笑させられたが、あれは60回か70回くらい読んだので、内容覚えてしまった。なのでこっちには驚くことは書いてない。しかし、著者の筆先はするどすぎ…

津軽地方とチェホフ

太宰治「津軽地方とチェホフ」 これはエッセイ。短い。 太宰は自分で戯曲を書いていて(そのタイトルは、この文章では不詳)、そのために、いろいろ戯曲を読んでいたが、大正時代の戯曲があまりにもくだらないのであきれたという。引用されている戯曲はひど…

友達がいないということ

小谷野敦『友達がいないということ』ちくまプリマー新書、2011 あっちゃんの友情についての本。あいかわらずおもしろい。 基本的には、「友だちがいないのは、普通でしょ」という趣旨。友情の概念は昔から、ギリシャ時代にも、中国の古い時代にもあったが、…

世の醜男醜女に与う

高群逸枝「世の醜男醜女に与う 美醜闘争論」『高群逸枝語録』岩波現代文庫、2001 この文章を読みたいために、『高群逸枝語録』を買ったのだが、非常におもしろかった。 今日も、将来も、恋愛場裏に勝利するのは美人。しかも、現在は恋愛と結婚だけで勝利して…

おじさんメモリアル

鈴木涼美『おじさんメモリアル』扶桑社、2017 非常に不快な本。著者は、元日経新聞記者、現在はライター。記者時代にAV出演を暴露された人。 内容は、著者が中学生、高校生、大学生、記者、その後(この間にキャバ嬢、AV女優を経験)のそれぞれの時期に、出…

復讐手帖

亀山早苗『復讐手帖 愛が狂気に変わるとき』扶桑社、2017 これは怖い本。恋愛関係で裏切られた女がどのようにして男に復讐したかというエピソード集。ちょっと笑える話もあるが、そんなほっこり話は少なく、大半は、背筋が寒くなるようなレベルの話ばかり。 …

関西人の正体

井上章一『関西人の正体』朝日新聞出版、2016 これはかなり笑えた本。朝日文庫に入ったのはは2016年だが、小学館文庫から2003年に出た。単行本の発行はわからないが、元の連載は1996年くらい。 ほとんど全部が、「関西」のコンプレックスを正直に出したもの…

時をかけるゆとり

朝井リョウ『時をかけるゆとり』文春文庫、2014 朝井リョウの大学生時代のエッセイ。2日間で100キロ歩いたとか、東京から京都まで自転車で旅行した(帰りは新幹線)とか、非常にリア充な生活をされている。 文章は、自分のことを上げすぎず、下げすぎず、不…

実録・北の三叉路

安宿緑『実録・北の三叉路』双葉社、2015 著者は、在日朝鮮人、30代、女性。朝鮮大学校を卒業して、総連の出版報道部門に勤務した後退職し、現在はフリーの編集者、ライター。 朝鮮学校を初級から高級、大学校まで通して卒業し、総連勤務で、記者として北朝…

東京ディープツアー

黒沢永紀(編)『東京ディープツアー 2020年、消える街角』毎日新聞出版、2016 東京に残っている、昔のかけらを拾い集めた本。ネタは、近代建築、飲み屋街、色街、住宅、といったもの。 近代建築遺産は、すでにいろんなところで紹介されているが、特に住宅は…

日本人と中国人

陳舜臣『日本人と中国人 ─”同文同種”と思い込む危険』祥伝社新書、2005 これは、陳舜臣が、1971年に書いたエッセイを再版したもの。ちょうど日中国交正常化の頃で、「今の中国について書いてくれ」と言われた著者が、「そんなものより中国の歴史のことを書く…

深爪式

深爪『深爪式 声に出して読めない53の話』KADOKAWA、2016 著者は、ツイッタラー。まあ、ただの主婦。これまで電子書籍で出ていた本2冊を合本して、それに新しいエッセイを書き足したもの。おもしろい。 著者紹介で「1970年代生まれ」と生ぬるいことを書いて…

美人になることに照れてはいけない

野宮真貴、ジェーン・スー『美人になることに照れてはいけない 口紅美人と甲冑女が、「モテ」、「加齢」、「友情」を語る』幻冬舎、2017 野宮真貴とジェーン・スーの対談本。これはつまらない。 野宮真貴という人を全然知らなかったが、歌手。「渋谷系」って…

一日一敗のきらめき 負ける言葉365

カレー沢薫『一日一敗のきらめき 負ける言葉365』講談社、2017 カレー沢薫の新刊。ところが、この新刊、既刊の『負ける技術』、『もっと負ける技術』、連載中の「非リア王」の抜き書き名言集。これを365日分集めましたというもの。そのうち、日めくりカレン…

平和都市ヒロシマを暴く

神川彰『平和都市ヒロシマを暴く』幻冬舎、2017 これは色んな意味でおもしろい本。著者は、1949年、大分生まれ、造船会社から、米海軍横須賀基地艦船修理廠で定年退職。その後は広島に移住し、市や地域のボランティアをしているいう人。この本も、幻冬舎とな…

あのころ、早稲田で

中野翠『あのころ、早稲田で』文藝春秋、2017 中野翠の「学生運動時代の手記」。知っていたことは知っていたが、中野翠は、1946年生まれ、1965年に早稲田大学第一政経学部経済学科に入学しているので、ガチで学生運動をやっていた人。それも、「社研」(社会…

私たちが仕事をやめていはいけない57の理由

川崎貴子『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』大和書房、2015 これは著者が女性に向けたライフハック本。著者の共著本、『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』が非常におもしろかったので、こっちも読んでみた。これもおもしろい。 一…

今夜もカネで解決だ

ジェーン・スー『今夜もカネで解決だ』朝日新聞出版、2017 ジェーン・スーの新刊。これはマッサージネタ。 ひととおり、さっと読んだのだが、まったく心に響かない。というのは自分はマッサージがぜんぜん好きではなく、ほとんど経験がない上に、数回受けて…

フィリピンパブ嬢の社会学

中島弘象『フィリピンパブ嬢の社会学』新潮新書、2017 けっこう話題になっている本。新聞の書評で2回くらい取り上げられているのを見た。実際におもしろい。 著者は、フィリピンパプのホステスを修士論文の研究対象として、フィリピンパブに入るのだが、そこ…

ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち

ジョン・ロンソン(夏目大訳)『ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち』光文社新書、2017 これはおもしろい本。著者はロンドン在住のコラムニスト。本の執筆や、テレビ番組の制作もしている。この本は、著者の調査と体当たり取材の報告書。 いまどき、ネ…

内向的人間のすごい力

スーザン・ケイン(古草秀子訳)『内向的人間のすごい力 静かな人が世界を変える』講談社+α文庫、2015 この本、原題は"Quiet: The Power of Introverts in a World That Can't Stop Talking" 。で、同じ本が、『内向型人間の時代――社会を変える静かな人の力…

毒婦

北原みのり『毒婦 ─木嶋佳苗100日裁判傍聴記』朝日新聞出版、2014 木嶋佳苗裁判(第一審)の傍聴記。朝日新聞の依頼で、著者がすべての公判を傍聴した記録。 著者が見た範囲のことしか書いていないし、取材は最小限のことしかしていないので、著者の目を通した…

木嶋佳苗被告の手記 1万2千字書き直しなし

「木嶋佳苗被告の手記 1万2千字書き直しなし」、朝日新聞、2012.4.13 この記事は、木嶋佳苗が第1審の判決直前に、朝日新聞あてに送った手紙をそのまま掲載している。初出時にはこの記事は読んでいなかった。しかし、木嶋佳苗の死刑が確定したので、朝日新…

ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム

溝口敦、荒井香織(編)『ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム』宝島社、2013 たまたまこういう本が出版されているのを知って、Amazonで買ったのだが、ひっくり返るほど驚いた。佐野眞一の仕事は盗用だらけ。週刊朝日の差別ネタだけが…

負ける技術

カレー沢薫『負ける技術』講談社、2015 カレー沢薫の初エッセイ集。これは初出時に著者が『クレムリン』の連載をしていたり、結婚したりしていたというものなので、いろいろとういういしい。 著者の仕事部屋がはじめのところに、写真で出ていて、「散らかっ…