平和都市ヒロシマを暴く

神川彰『平和都市ヒロシマを暴く』幻冬舎、2017


これは色んな意味でおもしろい本。著者は、1949年、大分生まれ、造船会社から、米海軍横須賀基地艦船修理廠で定年退職。その後は広島に移住し、市や地域のボランティアをしているいう人。この本も、幻冬舎となっているが、発行元は幻冬舎メディアコンサルティングで、つまりは自費出版

はっきりいって、著者の考え方はアホ。まあ、薄ら寒い平和主義で頭がいっぱいになっている人。しかし、それはどうでもよい。この本の読みどころは、これが広島批判で埋め尽くされており、かなり的を射ているものもあるということ。

広島が平和平和とうるさいのだが、その中心は広島被害者意識。これしかない。そもそも長崎のことは広島では無視されている。広島がやられて、広島が復興した、えらい!というだけ。平和といっても、原爆の話しかしないのである。ほかの話はいろいろと都合が悪いから。

長崎に興味ないだけでなく、沖縄慰霊なんかも全然関心なし。まあ、そりゃそうだ。沖縄だって、広島になんか関心ないだろう。あとは、よそ者に対する異常な閉鎖性。広島の平和関連事業を批判的に言えば、「あなたは考えすぎていませんか」(つまり、よそ者は口出すな)で片付けられる。

これはけっこうある話。著者の考え方はアホだと思うが、著者の広島への怒りは理解できる。まあ、広島人、これが商売になっているから、ずっと続けていこうと考えているわけである。あまりにもセコすぎる・・・。