内向的人間のすごい力

スーザン・ケイン(古草秀子訳)『内向的人間のすごい力 静かな人が世界を変える』講談社+α文庫、2015



この本、原題は"Quiet: The Power of Introverts in a World That Can't Stop Talking" 。で、同じ本が、『内向型人間の時代――社会を変える静かな人の力』のタイトルで翻訳されている。その文庫化単行本と文庫本でタイトルが違うのか。あざといなあ。

とはいえ、内容はいい。アメリカは、外向的な人間だらけのように思いきや、そんなことはないわけで、内向的な人間も半分くらいはいるのだ。アメリカ的にはあまり受けないように見える、内向的人間がどういう強みを持っているのか、どういうやり方で社会で切り抜けていけばいいのか、というおはなし。

訳者あとがきに、著者はこの本を書くのに、7年かけたと言っている。1968年生まれ。プリンストンを学部で、ロースクールをハーバードで終えて弁護士。その後ライターに転進。これが一冊目の著書。一冊目でこれだけの完成度のものを書くのだから、すごい集中力を持った人。

著者自身が言っているが、この本でいう内向的とは、心理学でいう性格分類とは違ったもので、人間が内向的か外向的かのどちらかに分類できるわけではない。しかし、基本的に、内向的、外向的の分類は人間の2つの柱としてはありでしょうというもの。たしかにそのとおり。

誰からでも好かれる人とか、カリスマ的リーダーシップとか、それはそれでいいけど、それだけが人を測る基準じゃないでしょうということ。むしろ、内向性と外向性は相互補完的だし、そんなに対蹠的なわけでもない。偉人には内向的な人物が多かった。

内向的な人間でも、行動では積極的になることができるし、親は内向的な子供の特性を伸ばすように育てることができる。だいじなことは相手の言うことを聞くこと。

いろいろとためになった。著者は考えの深い人。