おじさんメモリアル

鈴木涼美『おじさんメモリアル』扶桑社、2017


非常に不快な本。著者は、元日経新聞記者、現在はライター。記者時代にAV出演を暴露された人。

内容は、著者が中学生、高校生、大学生、記者、その後(この間にキャバ嬢、AV女優を経験)のそれぞれの時期に、出会った「気持ちの悪い、または笑えるおじさんエピソード集」。

この本に出てくるおじさん、確かに気持ち悪いし、バカがすぎる。もちろん、著者は、それを笑い、それから金を吸い上げる自分がモンスターだということも自覚はしている。もちろん、金をもらったから、何をされても文句は言えないということはないので、金で買う側を笑うのは、人の自由。

しかし、それはそれとして、著者の気持ち悪さ、醜怪さは格別。頭はよく、物はよく知っているが、そのことは著者の気持ち悪さを倍増させるだけ。何が気持ち悪いのかといえば、著者はおじさんと自分が同じ立ち位置にいたことを認識しているようで、自分だけはそこから突き抜けていると思っているところ。これは気持ち悪さを通り抜けて、もはや滑稽。

巻末に高橋源一郎との対談が載っていて、これも笑うしかない代物。高橋源一郎は、若い人間に媚びるところだけは上手いという、これもかなり気持ちの悪い芸風をもった人。この二人がお互いを持ち上げあっているだけで、苦笑しか出てこない。これで自分を客観視できているつもりだろうか。