防衛省と外務省

福山隆『防衛省と外務省 歪んだ2つのインテリジェンス組織』、幻冬舎新書、2013


これはまるっきり看板倒れの本。防衛省と外務省のインテリジェンス機関としての欠陥を指摘している本かと思ったら、そうではないのだ。

著者は、防衛省から出向で、外務省北米局安保条約課にいたので、2つの組織を知っているはずだが、組織としての防衛省と外務省がちゃんと分析されておらず、話題があちこちに飛ぶ。しかも、あちこちに飛んだ話がちゃんと回収されておらず、何をいいたいのかよくわからない本になっている。

著者は、外務省こそ日本の安全保障に責任をもっている組織で、防衛省は二の次と言っており、それはそのとおり。省の設置法にも安全保障は外務省の仕事と書いてある。それでは、そのようなやり方のどこに問題があるのかという話が出てこないまま。著者が、防衛省の立場についてのグチや、アメリカに従属する日本の地位へのグチをこぼすだけで、ちゃんとした政策論がない。

こんな人が、在韓国の防衛駐在官や、陸幕調査部調査二課長を務めていたのだから、そっちのほうがよほど心配だ。というか、幻冬舎の担当編集者は何してるの?