空中雷撃

『空中雷撃』谷甲州中央公論新社、2007

著者の「覇者の戦塵」シリーズの新刊。といっても9月に刊行されていたらしいのだが、知らなかった。前の巻「電子兵器奪取」からもう2年半もたっているのだ。待ちくたびれたよ。まあその間「日本沈没 第二部」が出たし、著者はこのシリーズにかかりきりになっているわけではないのでしかたないけど。
この巻は、後方の信号偵察と兵器開発に的をしぼった地味な話。戦闘場面はなし。それでも傍受した信号の解析方法や、当時の日本の技術水準でどうやって誘導兵器を造れるかといったネタは興味深く楽しめる。傍受した信号から新しい部隊の出現を分析する方法はミステリーものと技術もののテイストがミックスされていて、読みでがある。もともと著者が書きたかったのはこういう側面に光をあてた話だったわけだし。あとがきでは次の巻も、同じ路線になるようなことが書いてある。読み手としては、何でもいいから早く読みたいのだ。あと半年くらいで次巻が刊行されるといいのだけど。