猿の惑星・征服

猿の惑星・征服」、ロディ・マクドウォール、ドン・マーレーほか出演、J.リー・トンプソン監督、アメリカ、1972

夜中に5作品連続放映していたが、とても全部は見ていられないので四作目だけ見た。これも以前金曜日の映画の時間に繰り返し繰り返しやっていて、たいていはお正月にも放送していたものだ。個人的に好きなのはやはり名作の一作目、それから三作目とこの四作目。
いま見てみると、人種差別と公民権運動を強く反映していて、猿の姿が黒人に投影されていることがわかる。というわけで最後は奴隷大反乱になるのだが、人間がひとたまりもなく負けてしまうのはなんだかなあ。シーザー以外は武器もろくに使えていないし、出動した軍隊は小人数でパラパラ銃を撃っては後ろや横から猿の大集団に襲われてぜんめつ。まあ尺の関係もあるから、しかたないか。猿をひたすら抑圧しようとする知事は冷酷だが、最後に渋いことを言う。知事の補佐官をしている黒人のマクドナルドは、やたら猿に同情的で殺されるところだったシーザーを助けるのだが、結局そのおかげで地球は猿の支配する惑星に。しかしマクドナルドはあんまりそのことを後悔しているようにも見えず、最後でもシーザーに人間への寛容さを持つように説得したりしているし。相手は猿だよ、猿。
この映画では、猿の大反乱は1990年に起こることになっている。そしてこの映画の中での1990年の世界というのは(舞台はアメリカ)、すごい管理社会になっていて知事はほぼ独裁者、人間が少数派の一級市民で猿が大多数の奴隷としてこき使われているように描かれている。1970年代の未来像は暗かったんだということをあらためて感じる。