民主党の研究

民主党の研究』塩田潮、平凡社新書、2007

民主党を、幹部政治家たちの軌跡と政党としての事件史を中心に見た本。著者はこの分野では定評のある人だから、記述はしっかりしているし、それぞれの人物について綿密に取材して書かれていて、読ませる本になっている。政策の厳密な分析や支持者の動向、支持団体との関係など取り扱っていない側面は多いが、そっちは学者の仕事だろう。
それにしても一読して思うことは、よくこんなにまとまりのない政党が、グダグダになりながらもこれまで10年余りの期間、生き延びてこられたなあということ。自民党よりはるかにいい加減で、その時のリーダーの動きでどうにでも変わる。こんな政党が前回総選挙を除いて議席を増やしてこられたのは、それだけ自民党の支持基盤が弱っていることと、選挙制度のおかげだろう。次の総選挙で民主党が政権を取れない場合、参院での少数与党の状態は続くから、ただちに民主党の存立に影響が出ることはないかもしれないが、それでも万年野党から脱出できない党だというイメージは強くなるから、民主党への打撃は大きいだろう。しかしこれで民主党が政権をとるようなことになったとして、この党がちゃんと政権を運営していけるのか、それとも政権さえ取れば、それなりに党内はまとまってきちんとしたリーダーシップの下で動けるようになるのか、この本を読んでいると、どうも前者の不安を強く感じるのだが…。