日清・日露戦争

『日清・日露戦争』原田敬一、岩波新書、2007

岩波新書「シリーズ日本近現代史」の3巻目。初期議会から韓国併合までを扱う。全体として日清戦争までに紙幅が割かれすぎていて、日露戦争の記述が簡単にすまされている。事実関係はていねい(特に日本の国内政治情勢について)に描かれているので、それはいい。
しかし朝鮮語の単語には漢字に原語読みのルビが入る(中国語の場合は入らない)あたり、著者のおかしな感覚が読み取れる。日清日露戦争からその後の中国進出へのプロセスを切れ目のない膨張政策の連続と捉える感覚も理解できない。日本の朝鮮、台湾に対する植民地統治の記述も偏頗で一面的だが、まあ岩波新書だし、この著者だからこの程度だと理解するしかないだろう。