北条時宗

北条時宗」、和泉元彌渡部篤郎ほか出演、NHK大河ドラマ、2001

CSファミリー劇場での再放送がやっと終わった。本放送時には、途中であまりのアホらしさに見るのを投げてしまっていた。今回も中盤以降のグダグダぶりに数回は飛ばしてしまい、最後の3回を見て話の結末だけは把握。
高橋克彦の原作『時宗』は読んでいないので、高橋の原作が悪いのか、井上由美子の脚色が悪いのかはわからない。しかしいずれにしても脚本が致命的にダメ。話の中盤までの幕府内部の権力闘争はけっこうおもしろく見られた。しかし、いよいよ蒙古が攻めてくるということになった後は、主役の北条時宗はウジウジしているし、庶兄の時輔は赤マフラーをつけて元と日本を往復して「平和の使者」気取り。もうむちゃくちゃ。
もともと元寇をドラマの題材に取り上げた時点でいやな予感はあった。戦前か戦後の早い時期ならともかく、今これをネタにすれば「侵略から日本を守った北条時宗」という単純な話にすることはテレビではできないから、必ずどこかで無理に平和がどうのといわなければならなくなると思っていたのだ。悪い予感はあたって、元寇は「誤解に基づく悲劇」ということにされ、赤マフラーの渡部篤郎が「降伏ではなく国を開くのだ」などと寝言をむにゃむにゃいっているようなことになってしまった。弘安の役では台風の前に渡部篤郎やら北大路欣也が「台風が来るから人命を救うためにモンゴル軍の下船を認めよ」と日本と蒙古それぞれに詰め寄ったりしている。戦争やってる最中にありえない。史実では台風が過ぎた後は、日本兵は残った蒙古の軍船を徹底的に掃討しているのだ。戦争の言い訳をこういうアホみたいな形でやるのは本当に勘弁してもらいたい。しかも話は13世紀のことだろう。時代に即してやってほしいだけなのだ。大河ドラマは「利まつ」にせよ、どんどんアホ路線に傾いた話が多くなっているが、その元はこんなところにあったんだなあと今更ながら感じる。大河ドラマ史上最悪作のひとつだと思う。