僕は在日「新」一世

『僕は在日「新」一世』ヤン・テフン、平凡社新書、2007

著者は1991年に兵役を終えてから来日した韓国人で、日本では通訳、コーディネイター等に携わっているという。つまりいわゆる「ニューカマー」ということになるが、著者はこの名前があまり好きではないらしい。そこで本の表題もそれにあわせたものになっている。
内容は、滞日経験の長い韓国人としては、まあこういうものだろうという感じで、中身はまぎれもなく韓国人だが、それなりに日本に対する愛着もあり、「マンガ嫌韓流」を読んで非常に怒っている、というようなもの。韓国人の感覚や日本のどういうところになじめないかとか、読んでいてけっこうおもしろい点もある。
しかし、著者は普通の市井の人で、特に識見があるというわけでもなく、またあくまで個人の経験に基づいた内容で分析的なものではない。はっきりいってなぜこれが本になるのか、ちょっとよくわからない。著者の話を林信吾がまとめて本にした(林信吾は[構成]ということになっている)ものなのだが、どういう意図でこれを本にしたのか、林もちゃんと語っていない。だいたい著者のヤン・テフン自身が「なんで自分なんかが話したことが本になるのか」といってるし。それなりにおもしろかったが、内容は薄い。